研究概要 |
1. 協同組合としての農協が高齢者福祉活動に取り組むことの現代的意義として,(1)組合員の組織力が強化される,(2)新しい事業展開が可能になる,(3)農協の経営基盤強化に貢献する,といった可能性が大きいことが明らかとなった。 2. 農協の高齢者福祉活動の展開方向を次の三つの段階に分けて考察し,全国的にみた取り組み事例の類型化と検討を行った。(調査対象地:島根県JAくにびき,鳥取県JAとうはく,兵庫県JA稲美野,兵庫県JAたじま,京都府JA美山町,愛知県JAひまわり,岩手県JA花巻など) 第1段階:高齢者福祉活動に関する組織づくり(組合員組織,活動実行組織等),および農協の事務局体制づくりを行う段階。第2段階:第1段階における組織・体制づくりを受けて,ホームヘルパーの派遣,配食や訪問入浴のサービス等「在宅福祉型」のサービス事業を行う段階。第3段階:ケアハウスや特別養護老人ホーム等の福祉施設を建設することによって,「施設利用型」のサービス事業を行う段階。 その結果,第1段階,第2段階の取り組み事例が,全国的にみてもかなり進展していること,特に第2段階での取り組みについては,農協と行政との新たな連携体制が構築されつつあることが明らかとなった。 3. 2000年から導入が予定されている「介護保険」への対応という見地から農協が高齢者福祉活動に取り組むことは重要であるが,それ以上に,組合員を対象とした地域づくり活動の一環として,こうした活動に取り組むことの意義が大きいことが明らかとなった。
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