研究概要 |
Kimらによって報告された(Kim et al.1994,Science 266,2011-2015)TRAP(Telomeric-repeat amplification protocol)法はPCR法を応用した簡便かつ高感度なテロメラーゼ活性検出法として現在広く用いられている方法である.トリパノソーマ原虫のテロメア反復配列は人と同じ(GGGTTA)_nであることから,人テロメラーゼ活性検出用に米国Oncor社より市販されているTRAP_<EZE>^<TM> Telomerase Detection Kitを用いてトリパノソーマ原虫のテロメラーゼ活性が検出できるかどうかについて検討した.平成9年度はKit添付の説明書を参考に,トリパノソーマ抽出液の調製を行い,陽性細胞コントロール・陰性細胞コントロールおよびトリパノソーマ抽出液をサンプルとしてTRAP法を行った.その結果,陽性細胞コントロールでは高いテロメラーゼ活性が検出されたが,トリパノソーマ抽出液からはテロメラーゼ活性が検出されなかった.活性が検出されなかった原因として,反応系の諸条件がトリパノソーマテロメラーゼに最適ではなかったことが考えられたので,反応に用いる原虫数・テロメア伸張反応の反応条件(時間・温度)・PCRの反応条件(時間・温度およびサイクル数)について様々な条件を設定して検討した.しかしながら,トリパノソーマ抽出液からテロメラーゼ活性は検出されなかった. 一方,トリパノソーマのテロメラーゼ遺伝子をクローニングする目的で,原生動物でテロメラーゼの遺伝子配列が解っているテトラヒメナの配列情報をもとに,PCRプライマーを合成し,トリパノソーマゲノムDNAを鋳型にして様々な条件でPCRを行ったが,特異的な増幅は認められなかった.
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