研究課題/領域番号 |
09760287
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研究種目 |
奨励研究(A)
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配分区分 | 補助金 |
研究分野 |
応用獣医学
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研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
松木 直章 東京大学, 大学院・農学生命科学研究科, 助手 (40251417)
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研究期間 (年度) |
1997 – 1998
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研究課題ステータス |
完了 (1998年度)
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配分額 *注記 |
2,100千円 (直接経費: 2,100千円)
1998年度: 800千円 (直接経費: 800千円)
1997年度: 1,300千円 (直接経費: 1,300千円)
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キーワード | フリーラジカル / 虚血 / 電子スピン共鳴 / フォスフォリパーゼA_2 / 心筋 / in vitro / DMPO / ESR |
研究概要 |
虚血性心疾患の発症あるいは増悪に関与する因子として、フリーラジカルと脂質過酸化反応が注目されている。虚血心筋の試験管内モデルで発生が予想されたフリーラジカル分子種の同定および定量を行い、リン脂質膜に与える影響を検討した。 【材料と方法】C2C12筋管細胞を40mMのDMPOを含む緩衝液中で培養し、1mMのヨード酢酸(IAA)および2mMのシアン化ナトリウム(CN)を負荷して化学的な虚血状態にした後、1時間毎に培養上清を採取してESR法によりスピンアダクトを定量した。また、脂質過酸化反応の指標としてチオバルビツール酸反応性物質(TBARS)、細胞障害の指標として乳酸脱水素酵素(LDH)活性を測定した。 【結果ならびに考察】処置1時間後には培養上清中にDMPO-OHアダクトならびにDMPOと炭素中心ラジカルのアダクト(DMPO-R)が検出され、これらのESRシグナルは経時的に増強された。上清中のTBARSならびにLDHも経時的に増加した。この培養系に鉄のキレーターであるデフェロキサミン(1mM)を添加すると、DMPO-OHとDMPO-RのESRシグナルはいずれも消失し、TBARSならびにLDH放出は有意に抑制された。一方、本実験系にフォスフォリパーゼA2阻害剤(キナクリン、臭化ブロムフェナシル)を添加すると、用量依存的なLDH放出が観察され、この細胞障害増強作用はαトコフェロール(ビタミンE)により抑制された。以上の結果から、本モデル実験系では、鉄イオンを介した反応(フェントン反応)によりヒドロキシラジカルや炭素中心ラジカルが発生し、これらのラジカルが脂質過酸化反応を介して細胞障害をもたらすことが示された。さらに、この酸化的膜障害に対して細胞内のフォスフォリパーゼA2が抑制的に働くことが示唆された。
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