研究課題/領域番号 |
09760294
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研究種目 |
奨励研究(A)
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配分区分 | 補助金 |
研究分野 |
応用獣医学
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研究機関 | 大阪府立大学 |
研究代表者 |
宮本 忠 大阪府立大学, 農学部, 助手 (40264816)
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研究期間 (年度) |
1997 – 1998
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研究課題ステータス |
完了 (1998年度)
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配分額 *注記 |
2,100千円 (直接経費: 2,100千円)
1998年度: 1,000千円 (直接経費: 1,000千円)
1997年度: 1,100千円 (直接経費: 1,100千円)
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キーワード | Salmonella Enteritidis / 産卵鶏 / 卵 / 細菌叢 / 卵管 / クロアカ / Lactobacilus / 総排泄腔 |
研究概要 |
【目的】Salmonella Enteritidis(SE)による食中毒の原因食品の大部分は鶏卵である。われわれは、卵管下部の汚染により多くの汚染卵が認めらることを報告した。SEが卵管下部に感染するにあたり、クロアカおよび卵菅内の細菌叢は重要な働きをすると考えられる。昨年度は、SE上行性感染時におけるクロアカおよび卵管内フローラの働きを知るため、正常産卵鶏のクロアカおよび卵管内フローラを明らかにし、SE上行性感染前後におけるクロアカおよび卵管内フローラの変動を調べた.その結果、Lactobacilusがこれら部位で感染防御に重要な役割を担っている可能性が示唆された。そこで、本年度は分離されたLactobacillusを種のレベルまで同定するとともに、Lactobacillusのどの株が最もSEの増殖を抑制するかをin vitroで検討した。 【材料と方法】30-35週齢のDeKalb-TX35(White-Leghorn系)を用い,クロアカと卵管膣部からスワブ材料を採取した。 採取されたLactobacillusはアピ50システム(日本ビオメリュー・バイテック、東京)により菌種の同定を行った。さらに、spot-the-lawn-techniqueを用い、Lactobacillus、E.coli、BacterocidaceaeのSE増殖抑制効果をin vitroで調べた。 【結果】クロアカからL.acidophilus、L.salivarius、L.fermentumが同定され、とくにL.acidophilus、L.salivariusが多くの鶏から検出された。卵管膣部からはL.acidophilusとL.salivariusが検出された。SEの抑制拭験ではすべてのLactobacillus株で濾紙の周囲に明瞭な阻止円(最大1.6cm、最小0.2cm)が認められた。とくにL.salivariusの数株はL.acidophilusに比べ大きな阻止円が認められたが、同じ菌種でも阻止円の大きさには差があった。クロアカあるいは卵管膣部という採取由来の違いによる菌株の阻止円の大きさには差はみられなかった。他の被検菌株(E.coli、Bacteroidaceae)では阻止円は認められなかった。 【考察】クロアカと卵管膣部でみられたLactobacillusは、腸管でみられるものと同じであった。これらLactobacillusはin vitroでSEの増殖を抑制し、クロアカおよび卵管内フローラのうちとくにLactobacillusがSEの感染防御に関与している可能性が示唆された.Lactobacillusを鶏の卵管内に定着させることができれば、SEの上行性感染を防御し,その結果SE汚染卵の産出を防止できるのではないかと考えられる。現在、今回の実験で使用したLactobacillusのうち卵管に強く定着する菌株を選び出し、それらが実際に鶏のクロアカや卵管内でSEの定着増殖を抑制し、その結果として、SE汚染卵の産出を防止できるかどうか検討中である。
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