研究課題/領域番号 |
09770008
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研究種目 |
奨励研究(A)
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配分区分 | 補助金 |
研究分野 |
解剖学一般(含組織学・発生学)
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研究機関 | 滋賀医科大学 |
研究代表者 |
徳永 義光 滋賀医科大学, 医学部, 助手 (90263037)
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研究期間 (年度) |
1997 – 1998
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研究課題ステータス |
完了 (1998年度)
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配分額 *注記 |
1,500千円 (直接経費: 1,500千円)
1998年度: 500千円 (直接経費: 500千円)
1997年度: 1,000千円 (直接経費: 1,000千円)
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キーワード | ニホンザル(Macaca fuscata) / Protein gene product(PGP) 9.5 / ユビキチン / 精祖細胞 / 細胞増殖 / 精子形成 / 免疫組織化学 / 電子顕微鏡 / ニホンザル |
研究概要 |
ヒトを含めた霊長類の精子形成の特徴はその律速段階である精祖細胞増殖の抑制にある。しかしながら従来この霊長類の精祖細胞増殖調節を検討する適切なモデルが無かった。本研究で私は季節変化を示すニホンザル精子形成を霊長類精子形成の調節機構を検討するモデルと考え、下垂体一精巣ホルモン測定と組織化学を行い霊長類の精祖細胞増殖調節を検討した。組織化学的検討には私が既に報告したPGP9.5をニホンザル精祖細胞のマーカーとして用いた。 非繁殖期では血中黄体化ホルモン、精巣ホルモン(テストステロン)濃度ともに有意に低下していた。精巣では精細管上皮の薄層化が著明であったが、PCNA免疫染色による検討ではこれは性細胞の増殖能の低下によるものであった。PGP9.5免疫染色による精祖細胞の詳細な検討より、非繁殖期ではPGP9.5を細胞質に発現し増殖能を持たないAp型精祖細胞が繁殖期に比較して有意に増加していた。精細管のステージ分類を行い、各ステージにおけるAp型精祖細胞のPGP9.5陽性率を検討した結果、繁殖期では周期後半のステージにおいて陽性率の著明な低下を認めたのに対し、非繁殖期ではすべてのステージにて高い陽性率を示していた。以上よりニホンザル精子形成は非繁殖期において視床下部-下垂体-精巣ホルモンの低下にともない、Ap型精祖細胞が細胞質にPGP9.5を発現させ細胞周期を停止することにより抑制されていることが明かとなった。またPGP9.5の生化学的特徴からAp型精祖細胞の可逆的な状態変化を可能にしているのは細胞質PGP9.5のユビキチンを介する蛋白分解調節であるというモデルを提唱した。さらにラット精祖細胞の細胞質にはPGP9.5が存在しないことから、PGP9.5を介するこの増殖調節機構は霊長類幹細胞の遺伝子統合性を守る進化したメカニズムである可能性を示唆している。
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