研究概要 |
タイト結合(TJ)の裏打ち蛋白ZO-1,-2,-3は複合体を形成しTJに局在する。今回、ZO-2のcDNAをC末側から順に削りmyc tagを付与してMDCK細胞で発現し、TJにおけるZO-2の複合体形成様態を調べた。 【方法】ZO-2はN末側から3つのPDZ domains,SH3 domain,GK domainおよびプロリンに富む領域(C-tail)を持つ。C末側からこれらのdomainを順に削りmyc tagを付与してpCI-neo vectorに挿入後、MDCK細胞に導入しG-418で選択して安定株を得た。それぞれをZO2myc,PSGmyc,PSmyc,PDZmycと呼ぶ。また、全長をNRK細胞に導入し安定株を得た(NRK/ZO2myc)。発現の確認は、イムノブロットで行った。各遺伝子産物の局在はanti-myc抗体を用いて蛍光抗体法で調べた。細胞間の透過性は、単層培養細胞の電気抵抗値(TER)により評価した。各細胞についてoccludin(OC),ZO-1の発現量をイムノブロットで比較した。 【結果と考察】mycのシグナルは、ZO2myc,PSGmycではTJに認められた。PSmycではごく一部がTJに局在し、大部分はPDZmycと同様に細胞質および一部核に認められた。MDCK細胞においてZO-2が安定してTJに局在するためにはGK domainまでが必要であることがわかった。NRK/ZO2mycではmycのシグナルは細胞質に認められ、ZO-1とは共存しなかった。この結果は、NRK細胞においてはZO-2はZO-1と結合しないことを示唆している。ZO-3は、ZO-1と結合するがZO-2とはしないことがわかっている。従って、ZO-2はN末側で間接的にZO-1,ZO-3と複合体形を形成することが示唆される。TERは、ZO2myc,PSGmycではコントロールと同程度であったが、PSmyc,PDZmycでは上昇した。しかし、各細胞間でOC,ZO-1の発現量の差は認められず、このTERの上昇の機序は今のところ不明である。 なお,今回の結果は,第104回日本解剖学会にて発表する.
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