研究課題/領域番号 |
09770016
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研究種目 |
奨励研究(A)
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配分区分 | 補助金 |
研究分野 |
解剖学一般(含組織学・発生学)
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研究機関 | 自治医科大学 |
研究代表者 |
瀧澤 俊広 自治医科大学, 医学部, 講師 (90271220)
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研究期間 (年度) |
1997 – 1998
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研究課題ステータス |
完了 (1998年度)
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配分額 *注記 |
2,200千円 (直接経費: 2,200千円)
1998年度: 700千円 (直接経費: 700千円)
1997年度: 1,500千円 (直接経費: 1,500千円)
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キーワード | ヒト好中球 / 細胞内顆粒 / GPIアンカー型蛋白質 / アルカリ性フォスファターゼ / 好中球アルカリフォスファターゼスコア / 組織化学 / 電子顕微鏡 / 細胞生物学 / 細胞化学・ / 凍結割断レプリカ法 |
研究概要 |
本研究の目的は、ヒト好中球の細胞内顆粒、特に従来の特殊顆粒とは異なるGPI(glycosyl-phosphatidylinositol)アンカー型蛋白質を含む新しい細胞内顆粒の特徴を明らかにすることである。特定の細胞内顆粒膜上に微量に存在するGPI蛋白分子(alkaline phosphatase(ALPase),CD16等)を高い解像力で同定し、その分布様式・動態を明らかにできる新しい形態学的解析法“レプリカ細胞化学(freeze-fracture cytochemistry)"を開発し、その解析を進めた。この手法を用いてGPI蛋白分子の分布様式を検討してみると、非刺激時にはALPaseは細胞内小顆粒の内表面に限局していること、又CD16は細胞内小顆粒と細胞膜表面の両方に分布していること等のGPI蛋白分子のユニークなトポロジーを初めて明らかにすることができた。次に凍結超薄切片を用いた好中球の組織化学により、GPI蛋白分子(ALPase)を含む小顆粒がエンドソーム(endosome)とは異なる細胞内小器官であることを確認した。又、更に形態学的解析を進めるために、蛍光顕微鏡で観察した蛍光シグナルを引き続き電子顕微鏡で直接観察する“correlative microscopy"法も開発した。一方、fMLP等の刺激に対するGPI蛋白分子、特にALPaseの動態解析を進めるために、従来のアゾ色素法とは異なるセリウム法を用いた高感度でしかも安定性のある光顕ALPase染色法を開発した。これにより、刺激後細胞内から細胞表面に急速にup-regulateされるダイナミックな動態変化をとらえることに成功した。この新しい染色法は、基礎医学的研究に留まらず、臨床においてより精度の高いNAPscore(neutrophil alkaline phosphatase score)検査法開発の有力な糸口となると考えられる。このように頂いた科研費により、ヒト好中球細胞内顆粒の超微形態学的特徴をかなりの部分まで明らかにすることができたが、骨髄中の成熟過程にある好中球でどの様にGPI蛋白分子が発現しているのか、分子生物学的解析が課題として残された。
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