研究課題/領域番号 |
09770021
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研究種目 |
奨励研究(A)
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配分区分 | 補助金 |
研究分野 |
生理学一般
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研究機関 | 静岡県立大学 (1998) 筑波大学 (1997) |
研究代表者 |
石川 智久 静岡県立大学, 薬学部, 助教授 (10201914)
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研究期間 (年度) |
1997 – 1998
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研究課題ステータス |
完了 (1998年度)
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配分額 *注記 |
1,900千円 (直接経費: 1,900千円)
1998年度: 500千円 (直接経費: 500千円)
1997年度: 1,400千円 (直接経費: 1,400千円)
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キーワード | 冠動脈 / 内皮細胞 / カリウム チャネル / パッチクランプ / 内皮由来過分極因子 / モルモット |
研究概要 |
モルモット冠動脈においてアセチルコリン(ACh)により内皮細胞から遊離される内皮由来過分極因子(endothelium-derived hyperpolarizing factor:EDHF)に関する解析を行った。450〜600gの雄性モルモットから左冠動脈回旋枝を摘出し、実験に使用した。張力の測定は、内皮細胞が保存されたリング状標本を作製し、マグヌス法により行った。内皮細胞の細胞内Ca^<2+>濃度の測定は、Fluo3を導入した血管条片を共焦点レーザー顕微鏡で観察することにより行った。また、コラゲナーゼ処理により得られた単一血管平滑筋細胞を用いて、パッチクランプ法により全細胞K^+電流を測定した。small-およびlarge-conductance Ca^<2+>-activatedK^+ channelsの阻害薬であるapaminおよびiberiotoxinは、EDHFによる弛緩反応に全く影響しなかった。一方、同じくlarge-conductance Ca^<2+>-activated K^+ channelsの阻害薬として知られているcharybdotoxinは、AChの濃度-反応曲線を右方にシフトさせ、さらに、apaminとcharybdotoxin共存下では、EDHFによる弛緩反応は完全に消失した。また、AChによる内皮細胞の細胞内Ca^<2+>濃度の上昇にはapamin+charybdotoxinは影響しなかったことから、apamin+charybdotoxinが内皮細胞の細胞内Ca^<2+>濃度上昇を抑制することによりEDHF遊離を抑制したのではないことが示唆された。一方、チトクロームP450の阻害薬として汎用されているproadifenは、EDHFによる弛緩反応を完全に抑制したが、単一細胞を用いた全細胞電流測定実験から、proadifenが血管平滑筋の電位依存性K^+チャネルを直接抑制することも明らかとなり、proadifenはDHFがチトクロームP450代謝産物であるepoxyeicosatrienoic acid(EET)であるか否かを判定する道具としては不適当であることがわかった。以上の結果から、EDHFの効果発現にはapamin+charybdotoxinより抑制されるK^+チャネルが関与しており、少なくともモルモット冠動脈におけるEDHFはEETではないことが示唆された。
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