研究課題/領域番号 |
09770037
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研究種目 |
奨励研究(A)
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配分区分 | 補助金 |
研究分野 |
環境生理学(含体力医学・栄養生理学)
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研究機関 | 旭川医科大学 |
研究代表者 |
内海 計 旭川医科大学, 医学部, 助手 (90271759)
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研究期間 (年度) |
1997 – 1998
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研究課題ステータス |
完了 (1998年度)
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配分額 *注記 |
2,200千円 (直接経費: 2,200千円)
1998年度: 500千円 (直接経費: 500千円)
1997年度: 1,700千円 (直接経費: 1,700千円)
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キーワード | 褐色脂肪組織 / アポトーシス / 遺伝子発現 / TNFリセプター / bc1-2 / ICE / 寒冷暴露 / ラット / bcl-2 |
研究概要 |
アポトーシスは遺伝子により制御された積極的細胞除去機構で、組織の恒常性の維持に重要である。熱産生器官のBATは、高度の増殖・分化能を有する器官である。昨年度の研究において、BATはアポトーシス誘導経路であるTNFリセプター1(TNFR1)およびアポトーシス抑制遺伝子のbcl-2を発現していることを明らかにした。さらに、これらの遺伝子発現は寒冷刺激により共に増強されることから、アポトーシスがBATの機能亢進と関連する可能性が示された。 今年度はFasを介するアポトーシス経路の検討とアポトーシスを引き起こすプロテアーゼのICEの遺伝子発現についてさらに検討した。 実験には12週令のラットを用い、温暖対照群:WC(25℃)、急性寒冷暴露群:CE(5℃、24時間)および寒冷馴化群:CA(5℃、4週間)の各々の群で以下の結果を得た。 1. ラットBATではFasmRNAは検出されなかった。 2. TNFリセプターのリガンドであるTNF-αはどの群にも検出されなかった。 3. TNFR1mRNAの発現は寒冷暴露で増加し、その程度はCEとCAで同様であった。 4. ICEmRNAの発現が全群に見られ、その発現量は寒冷暴露時間に伴い増加した。 5. アポトーシスを抑制するbcl-2のmRNA発現はICE同様寒冷暴露時間に伴い増加するが、その発現量はCAでCEより大であった。 以上の結果より、ラットBATにアポトーシス機構の存在が明らかになり;それはTNFリセプターを介すると推測される。CAにおけるbcl-2の発現の程度はICEに比べ有意に高いことから、BATの熱産生亢進の維持に、bcl-2によるアポトーシス抑制機構が重要であると考えられる。またBATでTNF-αの産生が見られなかったことから、他の細胞由来のTNF-αがBATアポトーシスを調節すると推測され、更に検討を要する。
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