研究課題/領域番号 |
09770042
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研究種目 |
奨励研究(A)
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配分区分 | 補助金 |
研究分野 |
環境生理学(含体力医学・栄養生理学)
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研究機関 | 宮崎医科大学 |
研究代表者 |
加藤 和男 宮崎医科大学, 医学部, 助手 (80284834)
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研究期間 (年度) |
1997 – 1998
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研究課題ステータス |
完了 (1998年度)
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配分額 *注記 |
2,200千円 (直接経費: 2,200千円)
1998年度: 500千円 (直接経費: 500千円)
1997年度: 1,700千円 (直接経費: 1,700千円)
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キーワード | Dahlラット / 高張NaCl液 / 腎交感神経活動 / バゾプレッシン |
研究概要 |
我々は食塩感受性高血圧モデルとして知られるDahl食塩感受性(DS)ラットの脳室内へ高張食塩水を投与した時の1)腎交感神経活動(RSNA)の応答、2)飲水行動、さらにアンギオテンシン II(A II)を脳室内へ投与した時の3)飲水行動、4)RSNAの応答をDahl食塩非感受性(DR)ラットと比較した。0.3Mの高張食塩水を側脳室内へ1μl/minで20分間投与した時の心拍数(HR)、平均血圧(MBP)、パーセント変化に換算したRSNAを生食を投与したコントロール群と比較すると、それぞれの群でMBPとΔRSNAにおいて有意な変化がみられた。しかしながら、2群間でのRSNAの抑制度には差がみられなかった。中枢内へ0.3Mの高張食塩水投与後60分間の飲水量を両群間で比較するとDS群が有意に飲水量が少なかった。これは、DSラットがDRラットに比較して、腎臓の排泄能力が低下しているとの報告があることより、体液貯留を抑制するための代償機転の可能性がある。中枢内へ100ngのA II投与後60分間の飲水量を両群間で比較するとDS群が有意に飲水量が少なかった。中枢アンギオテンシン系による心血管反応やRSNA抑制反応を両群で比較すると、昇圧反応に関しては、DSラットがDRラットに比較して有意に大きかった。しかし、RSNAの抑制反応に関しては、両群間で差がみられなかった。飲水が血圧の上昇に左右されるとの報告があることから、DS群でのより大きな昇圧反応のために飲水が減少した可能性は否定できない。逆に、同程度の昇圧反応であったならば、RSNAの抑制度の差が顕在化する可能性があったと考えられた。 脳室内に高張食塩水を投与すると、昇圧反応以外に末梢血中へのバゾプレッシン分泌が増加する。また、中枢内にアンギオテンシン IIを投与すると、飲水行動と共に昇圧反応やRSNAの抑制反応がおきる。そこで我々は、覚醒、非拘束下のSprague-Dawley系(SD)ラットを用い、高張食塩水の中枢内投与時のRSNAの抑制に対する、5)末梢のバソプレッシン系、6)中枢内のアンギオテンシン系の関与をみるために、それぞれの拮抗薬を用いて検討した。側脳室内に1μl/minで20分間投与された0.67Mの高張食塩水によるRSNAの抑制反応(-81.5±5.5%)が、バゾプレッシンV_1 an-tagonistであるOPC-21268(大塚製薬、5mg/kg、i、v.)の前投与後に、同様に高張食塩水を投与すると有意に減弱(-55.8±5.7%)した。しかし、V_2 antagonistであるOPC-31260(大塚製薬、1mg/kg、i.v.)前投与後に、同様に高張食塩水を投与してもRSNAの抑制反応は有意に減弱しなかった。これより高張食塩水によるRSNAの抑制反応の少なくとも一部には、末梢のバソプレッシンがV_1レセプターを介して関わっていることが示唆された。さらに、中枢内高張食塩水投与時のRSNAの抑制反応に中枢内のアンギオテンシン系がAT1リセプターを介して関与しているかどうかをそのantagonistであるL-158,809(メルク社、1μg/1μl、i.c.v.)前投与後に、高張食塩水を投与して検討した。しかし、RSNAの抑制反応には有意な変化はみられなかった。
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