研究課題/領域番号 |
09770096
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研究種目 |
奨励研究(A)
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配分区分 | 補助金 |
研究分野 |
病体医化学
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研究機関 | 京都大学 |
研究代表者 |
岩井 裕子 京都大学, 医学研究科, 助手 (10281726)
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研究期間 (年度) |
1997 – 1998
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研究課題ステータス |
完了 (1998年度)
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配分額 *注記 |
1,900千円 (直接経費: 1,900千円)
1998年度: 800千円 (直接経費: 800千円)
1997年度: 1,100千円 (直接経費: 1,100千円)
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キーワード | 金属代謝 / 鉄 / 出芽酵母 / ストレス応答 / 転写調節 / 翻訳調節 / 細胞周期 / チェックポイント / 金属イオン代謝 / 酸化ストレス / トランスポーター / Wilson病 / Menkes病 / P-type ATPase / 転写因子 |
研究概要 |
鉄の必要性とその細胞傷害性とのバランスを保つために細胞内鉄濃度を一定に保つ機構を細胞は保有している。出芽酵母ではAFT1転写因子がその調節のマスター遺伝子として働き、細胞内鉄濃度によりその活性が制御されている。このAFT1転写因子のgain-of function mutant AFT1-1^<up>ではこのバランス保持に異常をきたし、細胞内鉄濃度が上昇する。細胞はこの状態でさらに増殖すると好頻度に発生するフリーラジカルの影響でDNAに傷害が起きる可能性が高くなるため、その防御反応として増殖が停止する。この応答はgain-of function mutant AFT1-1^<up>で観察されるだけではなく、wild typeでも観察されるため、外界からのストレスに対する新たな防御反応であると考えられる。この増殖停止はG1/S期(start)の停止であり、高親和性鉄取り込み機構に依存し、RAD9によるDNA damage check pointには依存しなかった。Gl期特異的cyclinのCln3のC末欠失変異をもつcln3-2を過剰発現させるとバイパスすることができ、G1期特異的cyclin G1期特異的cyclin Cln1,Cln2の発現蛋白量が過剰の鉄存在により著しく低下するのが観察され、このG1/S期の停止はこのGl期特異的cyclinの発現蛋白量への鉄濃度の影響が原因と考えられた。このG1期特異的cyclinの発現蛋白量への影響は転写調節、蛋白質の安定性(分解促進)によるものではなく、翻訳レベルの調節である可能性が高く、出芽酵母においても転写レベルの調節だけでなく、iron-responsive proteins(IRPs)のような鉄濃度による翻訳調節の存在が示唆された。
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