研究課題/領域番号 |
09770120
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研究種目 |
奨励研究(A)
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配分区分 | 補助金 |
研究分野 |
人体病理学
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研究機関 | 広島大学 |
研究代表者 |
有廣 光司 広島大学, 医学部, 助教授 (70232064)
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研究期間 (年度) |
1997 – 1998
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研究課題ステータス |
完了 (1998年度)
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配分額 *注記 |
1,800千円 (直接経費: 1,800千円)
1998年度: 1,000千円 (直接経費: 1,000千円)
1997年度: 800千円 (直接経費: 800千円)
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キーワード | 乳癌 / 骨転移 / 間質浸潤 / 乳癌細胞 / 化学遊走性 / KAI1 / HGF / IL-6 / 接着分子 / 骨基質 / I型コラーゲン / 肝細胞増殖因子 / KAI-1 |
研究概要 |
乳癌細胞が骨転移を形成する前段階となる間質浸潤においてKAI1の果たす役割を探る目的で、高浸潤株乳癌細胞MDA-MB-231を用いて、KAI1cDNAをトランスフェクトした後、IL-6及びHGFによる化学遊走性に及ぼす変化を検討した。対照では、KAI1をトランスフェクトしていない細胞(KAI1(-)と略す)とKAI1をトランスフェクトした細胞(KAI1(+))はそれぞれ249個、120個であり、運動性の抑制が見られた。KAI1(+)に抗KAI1ウサギポリクローナル抗体を前処置すると、IL-6あるいはHGFによる化学遊走性は顕著に抑制された。これらの結果は、KAI1の発現により乳癌細胞の接着能が亢進して運動性が抑制され、抗体との結合によりKAI1と複合体を形成する可能性のある、インテグリンなどの接着分子の活性化が促進された可能性を示唆する。 次に乳癌の凍結切片を用いてABC法による免疫組織化学的染色を行ない、KAI1蛋白の発現あるいは消失の臨床病理学的意義について検討した。その結果、乳癌では104例中20例(19%)にKAI1蛋白の発現を認めたが、乳癌の乳管内進展部では50病巣中7病巣(14%)に対して、間質浸潤部では91病巣中19病巣(21%)と浸潤部での発現率がやや高かった。KAI1蛋白の発現と腫瘍の組織型、リンパ節転移、患者の年齢、ER及びPgRとの間に相関はなかった。以上の結果からは、乳癌細胞におけるKAI1蛋白の発現ないし消失が乳癌細胞の乳管外への浸潤に関与する可能性を示唆する所見は得られなかった。 今後は、MDA-MB-231などのヒト乳癌細胞と、骨髄由来の血管内皮細胞、破骨細胞及び骨芽細胞のそれぞれの培養株との共培養を行い、両者の相互作用を検討する予定である。
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