研究課題/領域番号 |
09770165
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研究種目 |
奨励研究(A)
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配分区分 | 補助金 |
研究分野 |
寄生虫学(含医用動物学)
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研究機関 | 秋田大学 |
研究代表者 |
島田 博子 (菅谷 博子) 秋田大学, 医学部, 助手 (30235626)
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研究期間 (年度) |
1997 – 1998
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研究課題ステータス |
完了 (1998年度)
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配分額 *注記 |
2,200千円 (直接経費: 2,200千円)
1998年度: 700千円 (直接経費: 700千円)
1997年度: 1,500千円 (直接経費: 1,500千円)
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キーワード | 広東住血線虫 / 髄液好酸球 / IL-5 トランスジェニックマウス / アポトーシス / Annexin V / Caspase 3 / bcl-2 / bcl-xL / 好酸球 / IL-5トランスジェニックマウス / 低比重化 / Flow cytometry / CD69抗原 |
研究概要 |
広東住血線虫(Angios trongylus cantonensis;Ac)感染マウスでは、髄液に増多した好酸球(CSF-Eo)が脳内虫体を殺滅するエフェクター細胞として働くが、その生物学的特徴をさらに明らかにするためCSF-Eoのアポトーシス(細胞死)について、IL-5トランスジェニック(IL-5Tg)マウスの好酸球を用いて検討した。CSF-Eoならびに未感染IL-5Tgマウスの腹腔に硫酸カドミウムを注射して誘導した腹腔滲出好酸球(Pe-Eo)を対照としてin vitro培養すると、CSF-Eoの方がより長く生存した。さらにCSF-Eoのアポトーシスへの感受性をAnnexinVの結合により調べたところ、CSF-Eoに比較してPe-Eoは強いAnnexin V結合を示した。Ac感染IL-5TgマウスのCSF-Eoは同じ個体から回収したPe-EoよりAnnexin V結合性が弱く、髄液へ浸潤した好酸球のみが特にアポトーシス抵抗性を示すことが判った。また、A23187で刺激するとPe-Eoはアポトーシスを起しやすいが、CSF-EoあるいはrIL-5存在下で好酸球を培養して得た低比重化好酸球はA23187刺激後もAnnexin V結合性が弱く、DNA断片化も微弱である。つまり、生存が延長されている低比重化好酸球は、脱顆粒後アポトーシスが誘導されにくく、CSF-Eoはそのような好酸球へ移行しつつある。また、感染後27日のマウスから得たCSF-Eoを4時間培養後Caspase 3/CPP32活性を調べた結果、活性はPe-Eoより有意に低かった。さらに、CSF-Eo、Pe-Eo、あるいはこれらをrIL-5存在下で長期培養した好酸球におけるbcl-2、bcl-xL、bax mRNAの発現をRT-PCR法で調べたところ、bcl-2やbcl-xL mRNAの発現はPe-EoよりCSF-Eoで強く、さらにrIL-5で培養するとこれらbcl-2 familyの発現が増強した。つまり、CSF-Eoはbcl-2 familyの発現増強によりCaspase 3活性の抑制がおこり、その結果、アポトーシス抵抗性を獲得している可能性がある。CSF-Eoは活性化し、アポトーシスが抑制されるため虫体傷害作用が持続しやすくなると考えられる。
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