研究課題/領域番号 |
09770188
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研究種目 |
奨励研究(A)
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配分区分 | 補助金 |
研究分野 |
細菌学(含真菌学)
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研究機関 | 自治医科大学 (1998) 札幌医科大学 (1997) |
研究代表者 |
林 俊治 自治医科大学, 医学部, 助手 (40260765)
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研究期間 (年度) |
1997 – 1998
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研究課題ステータス |
完了 (1998年度)
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配分額 *注記 |
1,700千円 (直接経費: 1,700千円)
1998年度: 500千円 (直接経費: 500千円)
1997年度: 1,200千円 (直接経費: 1,200千円)
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キーワード | Helicobacter pylori / 胃癌 / 胃MALTリンパ腫 / 腫瘍免疫 / 付着 |
研究概要 |
Helicobacter pylori(HP)はヒトの胃粘膜に感染し、慢性胃炎・消化性潰瘍・胃癌の誘因となる。しかし、HP感染がどのような機構を介してこれらの病態を形成するのかについては不明な点が多い。特に、発癌を誘導する機構は全く解明されていない。そこで、それらの機構の解明を目的に胃粘膜局所におけるHPと宿主の間の「宿主-寄生体相互関係」の解析を行った。特に、胃粘膜における局所免疫の動態に注目し、HPの長期持続感染による胃粘膜局所における宿主の腫瘍免疫活性の変化の検討を行った。その結果、以下のような成績を得た。 1. HPの胃粘膜上皮細胞に対する付着の解析を行った。様々な病態の患者より分離された菌株を用いたところ、その付着活性が菌株によって大きく異なることが判明した。しかし、付着の強弱と疾患との間に特定の関連は認められなかった。 2. 様々な病態の患者より分離されたHPのリポ多糖の抗原性の解析を行ったところ、胃癌由来のリポ多糖がその他のものに比べて抗原性が低いことが判明した。 3. HPの持続感染によって、胃粘膜組織中のNK細胞が減少することが確認された。 4. 胃癌由来の株化細胞を標的としてHP陽性者と陰性者のリンパ球のNK活性を比較した。末梢血リンパ球を用いた場合、陽性者と陰性者の間でNK活性の差は認められなかった。一方、胃粘膜組織から分離されたリンパ球を用いた場合、HP陽性者のNK活性は陰性者に比べ有意に低かった。 以上の結果はHP感染による多様な病態が、HPと宿主の間の「宿主-寄生体相互関係」の結果として生じる可能性を強く示唆している。しかし、その「宿主-奇生体相互関係」はかなり多様性に富んだ複雑なものであり、さらなる解析が必要である。
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