研究課題/領域番号 |
09770257
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研究種目 |
奨励研究(A)
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配分区分 | 補助金 |
研究分野 |
公衆衛生学・健康科学
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研究機関 | 名古屋大学 |
研究代表者 |
市原 学 名古屋大学, 医学部, 助教授 (90252238)
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研究期間 (年度) |
1997 – 1998
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研究課題ステータス |
完了 (1998年度)
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配分額 *注記 |
2,200千円 (直接経費: 2,200千円)
1998年度: 400千円 (直接経費: 400千円)
1997年度: 1,800千円 (直接経費: 1,800千円)
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キーワード | 2-ブロモプロパン / 1-ブロモプロパン / フロン代替物質 / 神経毒性 / 生殖毒性 / 造血毒性 |
研究概要 |
(1) 雄ウィスターラット40匹を10匹ずつの4群に分け、3群にl-ブロモプロパンを800ppm、400ppm、200ppm一日8時間、12週間、小動物曝露用チャンバー内で曝露した。対照群には新鮮空気のみを曝露した。前肢握力、後肢握力、尾の運動神経伝導度は量依存的、時間依存的に低下し、尾の遠位潜時は延長した。さらに、末梢神経の解きほぐしではミエリンの変性が800ppm群で見られた。 (2) 上記実験で生殖器に対する影響を調べた。その結果、量依存的に精子数、運動率が減少し、形態異常精子は増加していた。精巣重量は有意な変化がなく、精巣の病理組織学的検査では精子数減少を説明できる所見はえられなかったが、精嚢重量は200ppm以上で有意に減少した。 (3) 雌ウィスターラット36匹を9匹ずつの4群に分け、3群に2-ブロモプロパンをl000ppm1300ppm1100ppm一日8時間、9週間曝露した。性周期を膣スメア法で観察するとともに、卵巣の連続切片を作成し、卵胞数を計測した。性周期の撹乱を示す個体は量依存的に増加した。性周期撹乱が明らかでない100ppmで有意に始原卵胞の減少が見られた。 (4) 雌ウィスターラット35匹を7匹ずつの5群に分け、4hに3000ppmの2-ブロモプロパンを8時間吸入させ、曝露1日、3日、5日、17日後にそれぞれ解剖し卵巣を取り出した。(3)と同様の方法で卵胞数を計測した結果、始原卵胞数が5日、17日後に有意に減少した。TUNEL法陽性の始原卵胞は5、17日後に有意に増加した。 以上、1-ブロモプロパンは、強い神経毒性とともに雄性生殖毒性を有することが明らかとなった。また、精巣上体精子指標、性ホルモン依存器官である精嚢などの重量、連続切片による卵胞計測、アポトーシス細胞を観察するために開発されたTUNEL法等が、鋭敏で有効な生物マーカーであることが示唆された。
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