1. 対象者に対して健康診断および生活習慣に関するアンケートを実施した。対象者は19の事業所に勤務する男性5187名である。HBsAgおよびHCVAbが陽性であり、ウイルス肝炎が疑われる者は対象から除外した。年齢構成は、全体では40歳代が48.2%とおよそ1/2を占めていた。ついで50歳代が30.8%、30歳代が12.7%、20歳代が4.8%であった。 2. 腹部超音波検査による脂肪肝の判定では5017名(96.7%)が異常なしであり、170名(3.3%)が脂肪肝という判定であった。肝臓における脂肪の沈着程度は肝腎コントラストにより判定し明らかに脂肪沈着ありと判断できる対象者を脂肪肝とした。 3. 対象者に対しておこなった血液検査では、GOT、GPT、γ-CTPの肝機能、および中性脂肪、総コレステロールも、脂肪肝を有する群で異常値を示す者の比率が高かった。体格指数であるBMIにおいても脂肪肝の群で肥満の数値を呈する者が多かった。 4. 生活状況では通勤時間、労働時間が長い群で脂肪肝の比率が高かった。よく歩くかどうかや飲酒、喫煙、朝食摂取、揚げ物摂取、などの生活習慣に関しては脂肪肝の有無による傾向の違いは認められなかった。 5. 今回の結果では通勤時間、労働時間が長い高ストレス群に脂肪肝が多く、またこれらの群はコレステロールや中性脂肪が高値であり肥満傾向である結果を得た。脂肪肝を有する群にはストレス対策および成人病予防も含めた総合的な対策が必要であると考えられる。
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