研究概要 |
1. ABO式血液型糖鎖を発現する細胞株の樹立 A,BおよびO型を発現している各種の細胞から消化管上皮等の細胞株を選び限界希望釈法でクローニングを行った。得られたクローンについて型発現の安定性を確認するために経代を行ったところ型活性が減弱するものが認められた。これについてPCRで調べたところ遺伝子DNA自体に欠落ではないと考えられたがRNAレベルの減少であるのか糖鎖合成自体の低下なのかあるいは血液型糖鎖の基盤である膜糖蛋白等の発現自体の減少であるのかは不明である。なお細胞を蛋白分解酵素で処理すると型活性が減弱することから型物質の担体は糖蛋白であることが示唆された。以上のことからO型とみなして陰性対照として考えていたクローンを含め型発現についての再検討の必要が生じた。 2. 糖転移酵素発現を検出するためのプローブの作成 昨年に引き続きオリゴプローブを作成し、mRNAの検出を試みた。しかし特異性および感度が低く、期待される結果は得られなかった。cDNAが入手できなかったためcDNAよりは短いもののオリゴプローブよりは長いPCR産物を標識してプローブとして使うことも検討したがこれもうまくいかなかった。プローブの作成とスクリーニングには元になるcDNAが無いとABO式血液型糖転移酵素のmRNAの場合はかなり困難であると考えられる。 3. 組織学的検討 各種の組織や培養細胞についての収集を行い、組織内でのmRNA検出法についての準備を行った。 プローブの作成が予定通りにいかなかったためmRNAの検出は出来なかったが今後の型物質発現の研究の材料は得ることは出来たと考える。
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