研究概要 |
シェーグレン症候群(以下SjS)の腺組織破壊にFas-Fas Ligandを介したApoptosisの関与が注目されていることより、Apoptosisの別の経路である細胞障害顆粒の発現について検討した。SjS患者10例、正常人5例を対象に、障害臓器である小唾液腺組織を採取し、免疫組織染色にて細胞障害顆粒であるPerforin、TIA-1、GranzymeB、ICE familyであるCPP32,ICE,Apoptosis関連分子であるAPO2.7,Annexin Vの発現を共焦点レーザー顕微鏡であるACASにて解析した。Perforin,TIA-1,GranzymeB,CPP32,ICE,AP02.7,Annexin Vは全て正常人に比べSjsで有意差をもって発現が高く(Perforin:正常人717±213,SjS 1903±378,P<0.0001,TIA:1218±267,2799±293,P<0.0001,Granzyme B:1267±424,2633±609,P<0.0001,ICE:1233±866,3364±788,P<0.0001,CPP32:666±302,2290±1186,P<0.01,AP02.7:1015±661,2382±543,P<0.0001,Annexin V:544±251,1110±125,P<0.05)、腺房上皮細胞に強く発現し、浸潤しているリンパ球に軽度の発現を認めた。以上の結果よりSjSの唾液腺組織破壊には浸潤しているリンパ球(主としてCD8陽性T細胞)から細胞障害顆粒が障害組織である腺房上皮細胞に向かって放出され、上皮細胞内でGranzymeBからICE familyが活性化され、DNAfragmentationからApoptosisが起こり、腺組織破壊が起こることが明らかとなった。
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