研究概要 |
滑膜細胞上のICAM-1、VCAM-1にそれらに対するマウスmAb(一次抗体)を結合させ、さらに抗マウスIgG抗体(二次抗体)で架橋形成することで刺激したところ、下記の事実が明らかとなった。 1. ICAM-1、VCAM-1を介する刺激によりIL-1β、IL-6の遺伝子発現、蛋白産生が起こることをnorthern blotting、ELISAにて確認した。 2. さらに、これらの遺伝子発現に関与する転写因子の活性化をEMSAにて検討したところ、AP-1およびNF-IL6の活性化が刺激後に見られること、CREB,NFkB,STAT等は活性化されないことが明らかとなった。 3. AP-1およびNF-IL6の活性化に共通して関与する上流のkinaseについて検討したところ、ICAM-1を介する刺激により5-15分でMAPKの急峻な活性化が認められ、60分では前値に戻るごとが明らかととなった。また、この時に活性化されるMAPKはERK-1,2であり、p38およびJNKは関与していない事をkinase assayおよび抗リン酸化ERK-1,2、p38、JNK抗体を用いたwestern blottingにて確認した。 4. このシグナル伝達活性化機構は、OAの滑膜細胞、線維芽細胞株、ICAM-1の発現ベクターを遺伝子導入して作成したCOS細胞などにおいてはほとんど認められなかった事よりRA滑膜細胞の異常活性化に基づく事象であることが示唆された。 以上のように、ICAM-1は単にそのリガンドであるLFA-1,Mac-1を介した細胞接着のみならず、リガンドよりシグナルを受ける細胞上分子として機能し得ることが明らかとなった。
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