研究概要 |
本研究の目的は培養細胞(in vitro)から胃粘膜(in vivo)まで共通して認められるフラビン,ニコチン酸,ポルフィリンを含む補酵素が酸素代謝伴って蛍光性を変化させるという現象を利用し、観察するだけで,無侵襲に,鋭敏に,客観的に組織・細胞内酸化還元状態を測定するシステムを構築する事であった。研究期間内に達成すべき目標として下記の2項目を掲げた。 i) 本研究によって構築される生体の自家蛍光測定システムを利用して,活性酸素による細胞障害を自家蛍光の測定によって無侵襲に,観察するだけで,鋭敏に判断する新しい細胞毒性試験法を確立する. ii)非ステロイド性鎮痛解熱剤(NSAIDs)は消化性潰瘍病変の主な原因の一つとされている.本研究によって構築される生体の自家蛍光測定システムを利用して,ラットのNSAIDs起因性胃粘膜障害と自家蛍光の関係を明らかにする.i) 期間内にラット正常胃粘膜由来培養細胞RGM1の活性酸素による障害をMTT法,NR法によって検討し,同時に障害に伴う細胞の自家蛍光量の変化を倒立顕微鏡・高感度カメラ・画像処理装置によって構成されたシステムによって測定た。この結果細胞障害と自家蛍光とのあいだに強い相関があり,自家蛍光の測定は無侵襲な細胞毒性試験となりうることを示した。 ii)上記システムの倒立顕微鏡を実体顕微鏡に置き換えることによって小動物観察用のシステムを構築し,非ステロイド性鎮痛解熱剤による胃粘膜障害と胃粘膜自家蛍光との関係検討した結果細胞の系と同様に,自家蛍光量と胃粘膜傷害とのあいだには強い相関があることを示した。
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