1. 各種血液系細胞由来血清可溶性HLA抗原の測定:血清より抗体アフィニティーカラムを用いた可溶性HLA抗原の分離は極めて困難であり、しかも解析に必要な量の抗原を回収することが不可能と判断された.従って、HLA-DR抗原を発現する各種細胞(B細胞、単球、活性化細胞、抗原提示樹状細胞[DendriticCell=DCl)の培養上清から分離、精製する方法を検討した.その結果、DCが最もその産生能が高く、しかも無血清条件下にて培養、回収することによって、その後の精製過程がスムーズとなり充分量のDR抗原を分離し得た. 2. 自己免疫性肝炎(AIH)におけるDC活性化の免疫組織学的検討:AIHにおいては、門脈域など炎症部位において、HLA-DR抗原を強力に発現したDCが浸潤する.同細胞は免疫抗体(S-100など)によって同定される.末梢血液中のDCが、肝局所DCと同一であるとの確証は得られないものの、前者より分泌されるDR抗原に結合しているペプチドのレパートリーを解析する(既知ペプチドとの相同性など)ことによって、疾患の原因にアプローチし得ると考えられる.今後は、分離DR抗原に結合しているペプチドをHPLC法によって精製し、そのシークエンス解析を進める予定である.
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