研究課題/領域番号 |
09770397
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研究種目 |
奨励研究(A)
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配分区分 | 補助金 |
研究分野 |
消化器内科学
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研究機関 | 久留米大学 |
研究代表者 |
金 基哲 久留米大学, 医学部, 助手 (30279145)
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研究期間 (年度) |
1997 – 1998
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研究課題ステータス |
完了 (1998年度)
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配分額 *注記 |
1,400千円 (直接経費: 1,400千円)
1998年度: 500千円 (直接経費: 500千円)
1997年度: 900千円 (直接経費: 900千円)
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キーワード | 肝細胞癌 / VEGF / flt-1 / KDR / Angiopoietin / Tie-2 / 低酸素 |
研究概要 |
ヒト肝細胞癌組織におけるVEGF受容体flt-1、KDRの発現は非癌部肝組織に比べ著明に増加しているが、これは肝癌細胞が産生ずる血管新生因子を含むなんらかの調節因子によって誘導されていると考えられる。この調節因子同定にため血管新生を強く誘導する低酸素条件下で肝癌細胞を培養し産生増加する因子(蛋白質)を検討した。この結果、蛋白質としては以前より報告されているVascular endothelial growth factor(VEGF)の産生誘導しか確認できなかった。低酸素下で誘導されたmRNAの拾い上げのため、通常条件培養時の肝癌細胞発現mRNAを用いサブトラクション法で検討を行ったが、これでは蛋白質と同様にVEGFと低酸素時誘導される転写因子であるHIF-1のmRNAが検出された。HIF-1は転写因子で分泌蛋白でないため肝癌細胞の産生する血管内皮細胞のVEGF受容体flt-1.KDRの制御因子とは考えられない。そこで血管新生に強く関与すると言われ、最近そのメカニズムが明らかにされつつあるangiopoietion-1、-2と血管内皮細胞に特異的に発現し、その受容体であるTie-2に着目し検討を行った。まず、ヒト肝細胞癌組織でその発現を検討すると非癌部肝組織に比べ肝癌組織でangiopoietin-2、Tie-2が強く発現し、臨床上の血管新生度と相関していた。また、その局在はangiopoietin-2は肝癌細胞に、Tie-2は癌組織内血管内皮細胞であった。以上よりangiopoietin-2、Tie-2が肝細胞癌の血管新生に関与していることが示唆され、この機構が血管内皮細胞のVEGF受容体flt-1、KDRの発現に影響を与えている可能性が考えられた。今後in vitroで培養血管内皮細胞を用いてangiopoietin一2、Tie-2とVEGF受容体flt-1、KDR関係について検討する予定である。
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