研究概要 |
気道上皮細胞に対するAAV vectorの遺伝子導入効率をAd vectorと比較検討multiplicity of infection(moi)1-100の間では、ほぼ同等の遺伝子導入効率を達成することを見い出し、論文として報告した(J Virol 72:8904-8912,1998)。またこの関係は、嚢胞性線維症(CF)患者と正常者(nonCF)しとで、差がないことを見い出し、AAV vectorの遺伝子発現についてCFTRは関与しないことを報告した。むしろ、ウイルス力価、培養環境、培養液体量、ウイルス暴露時間などが重要であることを報告した(J Virol 72:8904-8912,1998,Thromb Res 93:35-42,1999)。しながら、高濃度のAAV vectorの作成は現時点では困難なため、AAV vectorの遺伝子導入効率を上げる手段として、宿主細胞のDNApolymeraseなどの酵素群を活性化させる手段として、DNAtopoisomerase inhibitorの前処置によって遺伝子導入効率をw倍程度にまで上昇させる現象を見い出し論文として報告した中本胸部疾患学会誌 35:1312-1317,1997)。また、より生体内への遺伝子導入に近いモデルとして、器官培養下の気管支への遺伝子導入についても検討し、論文として報告した(日本呼吸器学会誌 in press)。DNAウイルスベクターの誘導するアポトーシスについては、肺癌細胞について腺癌と扁平上皮癌について検討し、いずれもmoi依存性にアポトーシスを誘導し、結果として遺伝子の一過性発現の原因になっていることを見い出し、現在論文投稿中。
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