研究概要 |
1: 昨年度はビデオ撮影した眼球運動を画像処理する眼球運動検出システムの整備を主眼とし,健常者の片眼眼球運動撮影システムと,取り込んだ画像の解析手法についての基礎的実験を実施した.その結果,光ファイバを用いて眼球運動画像の光輝度情報変位を非接触的に信号化することが可能であった.本年度は,(1)利用可能な眼球運動パターンを画像光情報から更に解析・検討,(2)眼球撮影部位の決定と適切な検出エリア内の二値化条件について検討,(3)実用にたる検出用光ファイバの材質特性・種類を検討, (4)Auto Target Traching機能を持つ1/3インチカラーCCDカメラ(EVI-D30,38万画素)を用い,利用者の不意の頭頚部移動に伴う眼球の適性撮影範囲の捕捉機構について検討,の4課題を主軸とし,本眼球運動画像検出法による重度障害者(児)のコミュニケーションシステムの確立の可能性について更に研究を進めた.これらの検討から,撮影する眼球運動範囲は左右何れかの単眼球の水平方向の最大運動を撮影出来るエリアを安定して確保することが重要であった.これによりCRT蛍光面上に任意固定した光ファイバで,角膜・瞳孔部と強膜部の輝度変位を正確に検出することが可能であった.利用者の頭頚部移動に伴う眼球の適性撮影範囲の捕捉機構については,既製のAuto Target Tracking機能を持つ1/3インチカラーCCDカメラを応用したが,撮影眼球の自動追尾は背景となる顔面の皮膚と眼球部の認識は極めて精度よく可能であったが,利用者の頚部の極めて速い回旋動作や,体幹を含めた大きな移動範囲では,被写体となる眼球部位を認識見知することは困難であった.自動補正撮影機構の更なる画像処理速度の向上と駆動アクチュエー夕の改善が求められた. 2: 本研究の結果から,眼球運動を非侵襲的に非接触で検出する方法として,眼球運動画像の光輝度情報変位を光ファイバを用いて信号化が可能であった.重症な障害を持つ神経筋疾患患者(患児)を対象とした,眼球運動画像検出型コミュニケーションシステムの開発の可能性が確認された.
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