研究概要 |
ラットの中大脳動脈に直接シリコン栓子を挿入する目々澤のモデル(Memezawa et al.,Exp Brain Res89:67-78,1992)に準じた方法を用い、ラットの中大脳動脈閉塞モデルを作成し、免疫抑制剤FK506(0.3mg/kg)を虚血直後にラットの大腿静脈内に投与し、対照として同量の溶媒を投与した。この投与量で、中大脳動脈を2時間閉塞後再開通3、24時間でラットを断頭後14μmの凍結切片を作成し、即時性初期遺伝子(Immediate early gene)や熱ショック蛋白72(heat shock protein72)のin situ hybridizationを行った。In situ hybridizationは[^<35>S]-dATPで3'末端にラべルしたoligonucleotide probeを用い、Nowak(Nowak TS Jr,J Cereb Blood Flow Metab 11:432-439,1991)の方法に準じ行った。即時性初期遺伝子(Immediate early gene)としては、c-fos、junBを行った。2時間虚血再開通3時間後のIn situ hybridizationの検討では、対照群では、c-fos mRNAは海馬を含む虚血側半球で出現しており、特にdentate gyrusで強く発現していた。FK506投与群でも虚血側半球で出現していたが、海馬ではその発現を認めなかった。Hsp72 mRNAは、対照群では中大脳動脈領域内と海馬全体にその発現を認めたが、FK506投与群では中大脳動脈領域内のみで海馬に認めず、その発現も減少していた。また再開通24時間後のIn situ hybridizationの検討では、対照群では、c-fos mRNAはその発現を認めなかったが、FK506投与群ではparamedian cortexやventral cortexにその発現が遷延していた。Hsp72 mRNAは、対照群では中大脳動脈領域内特に虚血周辺巣と海馬CA1領域にその発現を認めたが、FK506投与群では中大脳動脈領域内のみで海馬CA1領域に認めず、その発現も減少していた。
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