研究概要 |
最近白血病抑制因子やカルディオトロフィン-1などの膜蛋白gp130を活性化するサイト力インが心筋細胞肥大を引き起こすことが明らかになってきた。我々はgp130活性化によるβ-ミオシン重鎖遺伝子の発現誘導に必要なシスエレメントを解析した。即ちβ-ミオシン重鎮プロモーターにルシフェラーゼを結合させたプラスミッドを新生児ラット培養心筋細胞にトランスフェクションした。次に白血病抑制因子によりβ-ミオシン重鎖遺伝子の発現を誘導したところ、トランスフェクションしたルシフェラーゼ遺伝子の発現も同様に誘導された。同プロモーター上のGATAエレメントを変異させると基礎レベルの転写は野生型と変化しないが、対照群に対する白血病抑制因子刺激群における転写活性の誘導が著明に抑制されることが判明した。次に心臓に発現しているGATA因子群、GATA-4/5/6の中で、どれが最も重要かを検討した。GATA-4,-5,-6それぞれの発現ベクターをco-transfectionしたところ、GATA-5のみが強力にβ-ミオシン重鎖プロモーターを活性化することが判明した。又、GATA-5が同プロモーターのGATAエレメントに強く結合し、又、白血病抑制因子による刺激により、その発現が著明に亢進することが明らかとなった。以上よりGATA-5が心不全発症の細胞内情報伝達において役割を果たしている可能性が示唆される。
|