研究課題/領域番号 |
09770498
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研究種目 |
奨励研究(A)
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配分区分 | 補助金 |
研究分野 |
循環器内科学
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研究機関 | 慶応義塾大学 |
研究代表者 |
西澤 雅彦 慶應義塾大学, 医学部, 助手 (00237695)
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研究期間 (年度) |
1997 – 1998
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研究課題ステータス |
完了 (1998年度)
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配分額 *注記 |
1,800千円 (直接経費: 1,800千円)
1998年度: 500千円 (直接経費: 500千円)
1997年度: 1,300千円 (直接経費: 1,300千円)
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キーワード | アンジオテンシン受容体拮抗薬 / アンジオテンシン変換酵素阻害薬 / 動脈圧受容器反射機能 / 心筋梗塞 / 高血圧 / ラット / 動脈圧受容体反射 |
研究概要 |
高血圧において動脈圧受容器反射機能は障害されている。心筋梗塞でも圧受容器反射が障害され、その反射機能低下は致死的不整脈の発生や突然死と密接に関連している。一方、高血圧症による臓器障害の予防、治療としてアンジオテンシン受容体拮抗薬(AIIA)とアンジオテンシン変換酵素(ACE)阻害薬の効果と比較に興味が集まっている。AIIAは、ブラジキニンや一酸化窒素の増加作用がないため、臓器保護作用がACE阻害薬よりも劣ると考えられていた。我々は、心筋梗塞作成4週後のラットの圧受容器反射に対する、AIIAとACE阻害薬の効果を比較した。 高血圧自然発症ラット(雄、15週齢)およびウィスター・キョート・ラット(雄、15週齢)の左前下行技を結紮し、心筋梗塞を作成した。手術1週間後からAIIA(TCV-116 1mg/kg/day)あるいはACE阻害薬(エナラプリル10mg/kg/day)を3週間経口にて投与した。心筋梗塞から4週間後に、フェニレフリンまたはニトロプルシッド静注時の平均血圧、心拍数、腎交感神経活動の変化を覚醒状態で直接記録し、logistic function curveを用いて圧受容器反射機能を解析した。心血行動態の指標として、左室拡張末期圧と心筋重量を測定した。 心筋梗塞ラットでは腎交感神経活動および心拍数を指標とする圧受容器反射の感受性がともに低下していたが、後者の低下が著しかった。TCV-116の慢性投与は、心筋梗塞ラットの圧受容器反射を改善し、その効果はエナラプリルと同等であった。TCV-116は左室拡張末期圧など心血行動態の指標もエナラプリルと同等に改善させた。 AIIAの圧受容器反射改善効果はACE阻害薬よりも劣ると予想されたが、本研究ではほぼ同等であった。その理由として、(1)AIIAは、ACEを介さずに産生されたアンジオテンシンIIをも十分に抑制した、(2)心筋梗塞後にはアンジオテンシン・タイプ2(AT2)受容体が発現し、AIIAの慢性投与に伴い増加する内因性アンジオテンシンIIの、AT2を介する抗増殖作用などが発揮された、ことなどが考えられた。
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