研究概要 |
当院にて冠動脈造影(CAG)を行った連続症例のうち血液透析患者、高脂血症薬服用者および抗酸化剤服用者を除外した男性137例、女性28例の患者を対象とした。CAG上50%以上の有意狭窄を持つ107例(CAD)と持たない58例において検討した。危険因子(RF)では、年齢、男性、喫煙がそれぞれCAD群で高く、LDLコレステロール(LDL)値、中性脂肪値が高く、HDLコレステロール(HDL)値が低値であった。CAD群で血漿のTBARS値(2.3±1.4,1.8±1.4nmol/ml;p=.03)が有意に高値であり、LDL粒子の1ag time(42±4,44±8分;p=.08)の短い傾向が認められ被酸化性の亢進が示された。粒子経はCAD群で有意に(25.5±0.7,26.0±0.7nm;p=.002)縮小しており、粒子径と被酸化性の指標であるTBARS、lag timeに相関が認められた。LDL粒子中のリン脂質組成特にリゾフォスファチジルコリンの比率は、LDLの被酸化性とは相関が認められたが、CADの存在との関連は明らかではなかった。LDL粒子の脂肪酸組成としては多価不飽和脂肪酸および単価不飽和脂肪酸がCAD群で低くリノレン酸の比率が高い、またその比率は被酸化性の一つの指標であるpropagation rateと相関した。上記の指標を従属因子としてCADについてlogistic regression解析を行った。年齢(OR=1.1)、男性(OR=4.9)、HDL(OR=0.9)、LDL(OR=1.02)が有意であり、TBARS値およびlag timeは有意ではなかった。 以上の結果よりCADとLDLの被酸化性、粒子径との関連がそれぞれ認められたが、多変量解析の結果独立したRFとは認められず、他のRFに付随するものもしくは、CADの結果による可能性が考えられた。
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