研究概要 |
A. 血管平滑筋細胞増殖におけるRhoAの意義の解析マウスRhoAcDNAに対するアンチセンスオリゴヌクレオチド(as-ODN)を導入し、細胞増殖能・フォスフォリバーゼC(PLC)およびフォスフォリパーゼD(PLD)の変化を観察することとした. (1) RhoAアンチセンスの作成:マウスRhoA転写開始部位近傍に対するas-ODN・センスオリゴヌクレオチド(s-ODN)およびas-ODNのスクランブルオリゴヌクレオチド(scr-ODN)を各3組作成した. (2) RhoAアンチセンスODN組み換えアデノウイルスの作成:導入効率が高くin vitro・in vivoともに遺伝子導入が可能であるアデノウイルスペクターを用いた遺伝し導入を試みた.まず各ODNをpBluescript IIに組み込んだ.このODN組み換えプラスミドとサイトメガロウイルスエンハンサーとβアクチンプロモーターからなるCAプロモーターを持つアデノウイルスペクターpAdexCAlwを293細胞にco-transfectさせ、RhoAに対するas-ODN・s-ODN・scr-ODNを組み換えたアデノウイルスを作成を賦みた.ところが、数回の試行に関わらず、各ODNのアデノウイルスベクターへの組み換えが確認できなかった.そこで、各ODNをコスミドに組み込み,アデノウイルスベクターへの組み換えを現在試行中である. B.ROCK阻害剤を用いた血管平滑筋細胞増殖におけるRhoAの意義の解析 RhoAas-ODN導入実験が難航しているため,RhOAの主要ターゲット分子であるROCK(Rhoキナーゼ)阻害剤Y-27632により,RhoAの機能を阻害する実験を試みることとした.培養血管平滑筋細胞を10μMY-27632にて30分間前処置することにより、血清あるいはアンジオテンシン II刺激時に生じるミオシン軽鎖リン酸化が完全に抑刺された.このことは、Y-27632は血菅平滑筋細胞のROCK活性を抑制することを示す.現在,Y-27632前処置が,血清刺激・アンジオテンシン II・過酸化バナジン酸刺激時の^3[H]チミジン・^3[H]ロイシン取り込み能を測定しVSMCの増殖・肥大に対する影響、^3[H]イノシトール三リン酸産生・^3[H]フォスファチジルプタノール産生を測定しPLC・PLD活性に対する影響を検討中である.
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