研究概要 |
1, 第3回目(大震災後1年1か月)と第4回目(大震災後2年)の両方の調査で対象となった神戸市の子ども133人を対象に、第4回目の親の心理状態と子どもの変化の結果について検討した。親が「いらいらしたり、すぐ腹が立つ」に「はい」と答えた群では、子どもにおいて、「ものごとに集中しにくい」「小さなもの音に驚く」「兄弟や友人とけんかする」が高率に認められ、親が「地震のことが繰り返し思い出される」に「はい」と答えた群では、子どもにおいて、「暗いところを怖がる」「いつも親と一緒にいたがる」「地震に関する遊びや絵をかいてくれる」「小さな物音に驚く」が有意に高率であった。(危険率1%)これは、大きなライフイベンツである阪神淡路大震災は、それによる親の心理状態が、子ども大きな影響を与えるというを示唆する。 2, 大震災以前に実施した育児に関するアンケート調査の検討対象156人の内、大震災後の子どもと親の心身の健康状態についての調査の第2回目(大震災後5か月)の対象となり、第3回目あるいは第4回目の対象になったのは、84人(男児44人、女児40人)であった。これらの子どもたちの気質は、Easy Child38.1%、Difficult Child9.5%、Slow-to-Warm-up Child6.O%であり、この比率は、最初の調査の156人の子どもの気質の比率とほぼ同じであった。今後も、彼らの発達に伴って追跡調査を継続していくことが有意義であると考え、1999年2月に、第5回目(大震災後4年)の調査を実施している。 3, 大震災でその必要性の強化された子どものメンタルへルスケアにおいて、学校、病院、福祉機関、ボランティア間の連携システムの重要性が明確に認識され、実践されつつある。これらの支援の実態の一部を、1998年8月にストックホルムで開催された第14回国際児童精神医学会で発表した。
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