研究概要 |
小児期腎疾患の病態と、その組織から腎病変の予後を決定する因子を解明することを目的として、腎生検により得られた組織について病理学的解析に加えて免疫組織染色法および蛍光抗体法による免疫因子についての検討を行ってきた。免疫組織染色についてIgG,IgA,C3についてまず検討を行い、組織所見と予後との関係について解析を行いその結果を報告した。この結果組織所見の中でメサンジウム領域の変化の程度によりその予後が変化していることのみならず間質病変の程度も大きく予後に関与していることが示された。これらの変化をもたらす免疫学的因子について解析を加えた。解析にあたって、病理学的検討においては細胞の浸潤ならびに増殖をもたらす因子ならびに基質の増大をもたらす因子の解析が重要と考えられた。今回の研究に於いては浸潤細胞の表面マーカーおよび腎糸球体ならびに尿細管の固有の細胞での表面マーカーについて解析を行っている。陽性コントロールとしては、免疫細胞を多く含む扁桃組織を用いた。対象としては免疫応答に関与するHLAクラスI分子(HLA-A-A,B,C)、HLAクラスH分子であるDR、DQ、DPに対する抗体、さらにマクロファージに対する抗体、また、接着分子としてICAM-1、LFA-1、CD28、フィブロネクチン、タイプIおよびタイプIIIコラーゲン、Fas抗原、Fasリガンド、Bcl-2などの局在について、免疫染色および蛍光染色を行い浸潤細胞ならびに組織内における物質の分布について解析中である。さらに、シグナルトランスダクションの解析も必要と考え、STATなどの染色を計画している。
|