研究概要 |
【平代10年度研究実績】 前年に続き、レントゲン学的特徴から軟骨低形成症(Hypochondroplasia)と診断した日本人9例を対象とし、線維芽細胞増殖因子受容体(FGFR)3遺伝子解折・身体計測学的分析を行った。レントゲン学的診断の基準は、腰椎椎弓根間距離の狭小化・菱形腸骨・大腿骨頚部短小のうち2つ以上を満たすものとした。 1 FGFR3遺伝子解析 患者末悄血リンハ球からゲノムDNAを抽出し、Direct sequence法によりFGFR3遺伝子の膜貫通領域の塩基配列を決定した。その結果、9例中1例でコドン510番目のアスハラギンがリジンに変化ずる変異(Asn1510Lys)をヘテロ接合体で有することが判明した。 2 身体計測学的分析 Asn510Lysを有する患者では、身長-1,0 SD、座高/下肢長比 +7.0 SD、頭囲 +1.8 SDであった。一方、変異が認められなかった他の8例では、身長-5.7〜-1.68SD、座高/下肢長比 -0.35〜+5.8 SD、頭囲 -3.5〜+0.9 SDであった。 以上の結果から、以下の2点が明かとなった。 1 レントゲン学的に診断された軟骨低形成症日本人患者においては、現在までに報告されているFGFR3遺伝子のcommon mutationであるAsn510Lysの頻度は高くない。 2 Asn510Lysを有する患者では四肢短縮・総体的頭囲拡大が著明であり、臨床的診断に結びつく可能性が示唆される.
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