研究課題/領域番号 |
09770590
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研究種目 |
奨励研究(A)
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配分区分 | 補助金 |
研究分野 |
小児科学
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研究機関 | 久留米大学 |
研究代表者 |
樋口 恵美 久留米大学, 医学部, 助手 (50268877)
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研究期間 (年度) |
1997 – 1998
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研究課題ステータス |
完了 (1998年度)
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配分額 *注記 |
1,900千円 (直接経費: 1,900千円)
1998年度: 800千円 (直接経費: 800千円)
1997年度: 1,100千円 (直接経費: 1,100千円)
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キーワード | 水チャネル / 抗利尿ホルモン / 新生児 / 免疫組織学 / 脱水症 / Aquaporin-2 / 免疫組織化学 |
研究概要 |
本研究では、まず、新生児ラットと成人ラットを用い、水制限モデルと健常コントロールモデルを比較し、抗利尿ホルモン-AqUaporin2系の変化を検討し、新生児が脱水に陥りやすいメカニズムを検討した。脱水状態に至った場合、成人ラットでは血漿ADHが117.2%上昇したが、新生児ラットでは104.6%の上昇であった。また、抗AQP2抗体を用いた腎免疫組織染色では、コントロールラットの新生児は成人ラットに比べ、集合管のAQP2の染色性は弱く、新生児のAQP2蛋白量の少ないことが示唆された。また、コントロールラットとの比較で、脱水ラットでは、成人ラットは新生児ラットに比べ、染色性が極端に強かった。また、新生児ラットは脱水によりAQP2の染色性は強まったものの、成人ラットほどではなかった。以上より、新生児あるいは小児が成人と比較して、(1)脱水状態に対するADHの反応性分泌が低いこと、(2)AQP2の蛋白量が少ないこと、(3)脱水時のAQP2の産生量が少ないこと、(4)脱水時のAQP2の細胞質から細胞膜への挿入が遅いこと、が示唆された。また、ヒト成熟新生児において、生下時から生後6週までの尿中AQP2蛋白を測定した結果、生直後、尿中AQP2蛋白量は少なく、週令を経るとともにその蛋白量は増加した。また、不熟児における測定でも、同様の発達パターンを呈した。成熟新生児と未熟児では、生後の尿中AQP2発現のパターンは似ており、生後4週までは尿中にいずれも発現を認めなかったが、生後4週から6週にかけていずれも急激かつ同程度の発現および上昇を認めた。この結果、ヒトにおいてもラットにおける基礎的実験と同様、腎集合管におけるAQP2の発現およびその反応性の未熟性が、小児における脱水に陥りやすいメカニズムである可能性が示唆された。
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