研究概要 |
人為的にhyperinnervationを惹起した皮膚における痒み感受性の検討 剃毛したメスSprague-Dawley種ラット後肢前面に1%活性型ビタミンD溶液,アセトン,生理食塩水を15日間連日外用した。16日目にそれぞれの外用部皮膚を生検し,型通りホルマリン固定,パラフィン包埋し,厚さ5ミクロンの切片を作成して抗PGP9.5ポリクローナル抗体を用いたsABC法による免疫染色を行った。染色された表皮真皮境界部に存在する末梢神経線維の密度をdigital analyzerを用いて解析した結果,アセトン外用群では対照とした生理食塩水外用群(対照)に比して統計学的に有意な末梢神経線維の増生を認めた。しかし,活性型ビタミンD溶液外用群では対照と比して明らかな神経線維の増生は認められなかった。 そこで,メスSprague-Dawley種ラット後肢前面にアセトンを15日間連日外用し,同部位にhyperinnervationを生じたラットを作成した。対照として生理食塩水を同様に15日間連日外用したラットを用いた。外用終了から2日後,0.1%,0.3%,1%のヒスタミン水溶液を処置部にそれぞれ塗付し、その上を軽く掻破して,痒み刺激を与えた。刺激2時間後,エーテル麻酔下にZamboni液を用いて被験ラットを潅流固定して脊髄を摘出した。摘出した脊髄は同固定液にてさらに2日間浸漬固定した後,腰髄部をクリオスタットで厚さ20ミクロンの凍結切片とした。Fos蛋白に対するポリクローナル抗体を用いてsABC法によりこの切片を免疫染色し,染色された脊髄後角ニューロンを計数し,アセトン処置群と対照群それぞれの陽性細胞数を比較した。その結果,アセトン処置群で陽性細胞数の増加する傾向が認められたが,統計学的な有意差は得られなかった。現在,被験ラット数を増やして統計学的な有意差が得られるかどうか検討中である。
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