研究課題/領域番号 |
09770630
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研究種目 |
奨励研究(A)
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配分区分 | 補助金 |
研究分野 |
皮膚科学
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研究機関 | 京都大学 |
研究代表者 |
高橋 健造 (高橋 建造) 京都大学, 医学研究科・皮膚科, 助手 (80291425)
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研究期間 (年度) |
1997 – 1998
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研究課題ステータス |
完了 (1998年度)
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配分額 *注記 |
2,900千円 (直接経費: 2,900千円)
1998年度: 1,000千円 (直接経費: 1,000千円)
1997年度: 1,900千円 (直接経費: 1,900千円)
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キーワード | ケラチン / トランスジェニックマウス / 創傷治癒 / 先天性表皮水疱症 / 角化異常症 / 遺伝子治療 / トランスジェニック・マウス |
研究概要 |
昨年度、作製したガラクトシダーゼ遺伝子によるトランスジェニックマウスの発現組織分布の結果をふまえ、2.5kbpと5.0kbpのヒトケラチン6遺伝子のプロモーターをもちい、変異ケラチン遺伝子をトランスジェニックマウスの皮膚に誘導発現させた。この融合遺伝子を持つトランスジェニックマウスは、無刺激の状態では、全く正常な皮膚であるが、レチノイン酸などによる誘導をうけると表皮細胞に変異ケラチンを発現し、ヒトの遺伝病に見られるような病理像を呈した。このトランスジェニックマウスの解析のため以下の実験を行った。1)サザンブロット法によるトランスジェニックマウスの選定 2)HE、トルイジンブルー染色等によるトランスジェニックマウスの皮膚を中心にした全身の臓器の病理学的検索3)抗変異ケラチン抗体を用いた、全身臓器、正常および刺激後の皮膚での導入遺伝子発現の免疫組織学的検討 4)TPA,レチノイン酸、DMBAなどを皮膚に塗布した後の変異ケラチン遺伝子の誘導の度合の検討 5)2-4の実験の結果をふまえて、レチノイン酸とTPAを用い、薬剤による刺激後の、微細構造の経時的病理変化を電子顕微鏡を含めて検討した。 今回、われわれは異常なケラチン蛋白質の発現がどのように、最終的には先天性表皮水疱症や魚鱗癬紅皮症の患者皮膚にみられるような表皮細胞の空胞化、トノフィラメントの塊状化、顆粒変性さらに表皮内水疱の形成といった病態や病理像を引き起こすのかをモデルマウスを使って詳しく解析し得た。生下時は全くの正常な皮膚を持ちながら、外部からの誘導により、ヒトの先天性皮膚疾患と同一の病理像を示すモデル動物を、トランスジェニックマウスの技術を用いて確立し、こうしてできたモデルマウスの病理組織像を詳しく観察することで、上記の皮膚疾患の発生機序がより明らかなり、さらにこのモデル動物は、よりよい治療法の探究のためにも極めて有用であると思う。
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