研究概要 |
IL-7はB細胞、T細胞に対して分化増殖に関与すると考えられている。IL-7の機能、特にT細胞に対する機能を検討する目的でIL-7transgenic mouseの皮膚病変検討を行った。IL-7transgenic miceのあるものは約20週頃より、脱毛、紅斑を伴った高度な皮膚炎を発症し、皮膚炎発症後、短期間で死にいたった。健常部、脱毛斑部、皮膚炎部と脱毛部の境界部、皮膚炎部の皮膚を採取して、組織学的に検討をおこなった。健常皮膚では表皮と毛のう周囲に少数の細胞浸潤を認め、病変がすすむにつれ、細胞浸潤は増加し、徐々に毛のうは破壊され、皮膚炎部では真皮全層にわたる稠密な細胞浸潤を認め、また、角層下にcutaneous T cell lym phoma等に認められるポートリエの微小膿瘍に類似したmicroabcessが形成された。免疫蛍光染色では表皮内にThy-1^+陽性細胞、γδTCR陽性細胞、CD3陽性細胞、αβTCR陽性細胞を多数認め、一部に、Vγ3陽性細胞、Vδ4陽性細胞も認めた。また、真皮の稠密な浸潤細胞の大部分はThy-1^+陽性、γδTCR陽性、CD3陽性細胞であった。一部、αβTCR陽性、Vγ2陽性,Vγ3陽性,Vδ4陽性を示すものも認められ多様な細胞浸潤であった。これらの結果からIL-7は皮膚でのT細胞増殖さらに皮膚炎の形成に強く関与していると考えられた。これまで、IL-7は腸管粘膜T細胞の増殖やdendritic epiderm al T cellsの増殖に関与していることが認められており、我々の結果はIL-7が皮膚のT細胞に対して増殖を促進し、さらに皮膚炎の形成に関与することを示した。
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