研究課題/領域番号 |
09770674
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研究種目 |
奨励研究(A)
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配分区分 | 補助金 |
研究分野 |
放射線科学
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研究機関 | 埼玉医科大学 |
研究代表者 |
高橋 健夫 埼玉医科大学, 医学部, 講師 (70241883)
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研究期間 (年度) |
1997 – 1998
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研究課題ステータス |
完了 (1998年度)
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配分額 *注記 |
1,800千円 (直接経費: 1,800千円)
1998年度: 500千円 (直接経費: 500千円)
1997年度: 1,300千円 (直接経費: 1,300千円)
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キーワード | 放射線 / 抗癌剤 / 照射効果 / 増感効果 / アポトーシス / p53 / 分子生物学 / 放射線抵抗性 / DNA断片 |
研究概要 |
細胞死の研究が進歩しアポトーシスが重要な役割を占めることが明らかになり、疾患の特性のみならずその治療にも関与していることが考えられる。癌細胞に効率よくアポトーシスを誘導できれば、より効果的な治療が可能となる。今年度は同系由来の放射線感受性細胞と抵抗性細胞に対し、放射線と抗癌剤を併用しアポトーシス誘導能と増感効果に着目した。さらに癌遺伝子の発現についても検討した。 細胞は放射線感受性細胞のNMT-1と、この細胞より得られた放射線抵抗性細胞NMT-1Rを用いた。放射線と併用する抗癌剤はエトポシドとタキソールを使用した。エトポシドの細胞致死効果は放射線抵抗性細胞NMT-1Rの方が抵抗性であったが、タキソールでは差異を認めなかった。それぞれの細胞に対するIC50量を用いて放射線との併用作用を比較検討すると、エトポシドを照射と同時併用した場合、放射線感受性細胞NMT-1では相加効果のみで増感効果は認められなかったのに対し、放射線抵抗性細胞NMT-1Rでは相乗効果が認められた。一方タキソールの場合、いずれの細胞においての増感効果が認められた。両抗癌剤とも低線量域での効果が高く、DNA断片化率が上昇しアポトーシスの関連が示唆された。いずれの場合も治療効果が増強する際は、アポトーシスが関与していることが明らかとなった。次にNMT-1とNMT-1Rの放射線感受性の相違についてであるが、放射線感受性細胞は野生型p53を発現するのに対し、抵抗性細胞では変異型p53の発現が認められた。放射線誘導アポトーシスの出現頻度が大きく異なるのは、癌遺伝子の発現の差異による事が明らかとなった。今後、野生型p53を放射線抵抗細胞に導入し、感受性が変化するか確認する必要がある。すなわち癌遺伝子治療と放射線の併用による治療効果を検討することが重要であると考えられる。
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