研究概要 |
本研究において、現在までに我々は以下の事実を解明した。 #1:Tl-201は心筋細胞内にdiffuseに分布した後、mitochondriaやSarcoplasmicreticulumで保持される。 #2:虚血心筋細胞モデルのmitochondria阻害心筋細胞でTl-201uptakeの低下に加え細胞内でのTl-201保持能の低下が起こる可能性の提示。 #3:悪性腫瘍細胞内のTl-201長時間保持には、細胞内ATP濃度増大・生産能亢進が直接関与。 #4:悪性腫瘍細胞内の亢進解糖系がTl-201のuptakeに関与。 以上の実験的事実はTl-201のkineticsが心筋や腫瘍細胞のviabilityを反映するという既存の経験的推論に生物学的な証左を提供した。当該研究期間において以下の所見を得た。 腫瘍細胞のviabilityの反映に加え、我々は抗癌剤効果予測の可能性をTl-201で検討したが、抗癌剤感受性細胞SW13,A549とAdr耐性細胞SW13r,A549rの間にTl-201のuptake studyで有意差を認めなかった。しかし、細胞膜上の多剤排出ポンプ(P-gp)の機能を反映するtracerであるTc-TFを使用して、P-gp型の多剤耐性(P-gp MDR)の予測にTc-TFが有望であること、非P-gp MDRにもTc-TFによる予測可能性を示した。Preliminalな検討にとどまっているが、Tc-MIBIというtracerもP-gp MDRに加え、一部の非P-gp MDRの検出に有効な証拠を確認した。
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