研究概要 |
脳腫瘍(神経膠腫)の治療効果予測における^<99m>Tc-MIBI(テクネチウム99m-2メトキシイソプチルイソニトリル)SPECTの有用性を検討し,^<18>F-FDG(フルオロデオキシグルコース)PETと^<11>C-MET(メチオニン)PETの結果と比較した。対象は,膠芽腫5例,退形成性星細胞腫2例,良性神経膠腫3例,計10例で,^<99m>Tc-MIBI(600MBq)による腫瘍SPECT撮像を30分後(早期像)と4時間後像(後期像)の2回行った。早期像と後期像から,腫瘍への集積率を腫瘍/健側比(L/Ne,L/Nd)により求め,腫瘍からの洗い出し率(L/Nwr)を算出した。^<18>F-FDG PETでは薬剤投与38分後像を,^<11>C-MET PETでは薬剤投与28分後像を撮像し,^<18>F-FDGと^<11>C-METの集積は,standardized uptake value(体重で補正した投与量に対する集積)を用いて評価した。10例すべてにおいて手術後あるいは生検後に放射線化学療法が行われた。放射線化学療法に対する効果を,4週間後MR画像により評価したところ,悪性群では,治療効果によりminimal response(MR;4例)とno change(NC;3例)の2群に分類された。9例では免疫組織化学的手法によりP-糖蛋白の有無も調べたが,4例でP-糖蛋白(+),5例でP-糖蛋白(-)であった。L/Ne値,L/Nd値は,P-糖蛋白(+)群,(-)群間に有意差を認めたが、FDG集積,MET集積は2群間に有意差を認めなかった。L/Nwr値は,MR群,NC群間に有意差を認めたが、FDG集積,MET集積は,2群間に有意差を認めなかった。以上よりP-糖蛋白の存在と治療効果との関連性が示唆され,^<99m>Tc-MIBI SPECTは悪性神経膠腫の放射線化学療法に対する治療効果予測に有用であることが示された。
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