研究概要 |
1. 培養腫瘍細胞での検討。トキソルビシシに感受性を示すKB-3-1、MCF-7MFDA-MB-231とトキソルビシンに耐性を示すKB-G2、C-A500,MCF-7およびMDA-MB-231のトキソルビシン耐性株のドキソルビシン感受性を、MTTassay法で測定した。耐性細胞の方が感受性細胞よりも10倍以上の濃度のドキンルビシンに耐性であった。 2. それぞれの細胞をヌードマウスに移植し、Tc-99m MIBlを静注し、腫瘍からのRIの洗い出し率を算出した。KB-3-1が-0.34±0.15、KB-G2が-0.77±0.37、C-A500が-0.73±0.24、MCF-7が-0.48±0.06、MDA-MB-231が-0.51±0.11で、ドキンルビシン耐性株の方が洗い出し率が有意に大きいことが示された。 3. 同意の得られた乳癌患者24例において、Tc-99m MIBIシンチグラフィを施行した。早期像と後期像での腫瘍部へのTc-99m MIBIの集積強度からTc-99m MIBIの洗い出しの指標であるretention indexを算出し、手術時に摘出された乳癌組織のMTTアッセイ法で測定した抗癌剤感受性との相関関係を求めた。乳癌の組織中の線維成分の量に相違があることが報告されている硬癌とそれ以外の浸潤性乳管癌との間には、retention indexの分布に相違は認められなかった。これに対して、retention indexとトキソルビシンのinhibitonratioとの間に相関関係が認められた(r=0.49)。しかし、Tc-99m MIBIが停滞する腫瘍でも、抗癌剤感受性の低い症例も認められ、これらの腫瘍に対しては、腫瘍細胞内からの抗癌剤の汲み出し以外の耐性機序の関与が示唆された。腫瘍からのTc-99m MIBIの洗い出しを観察することにより、乳癌の抗癌削感受性を予測するのに役立つことが示され、さらにP糖蛋白質阻害剤の適応を考えるうえでも有用と考えられた。
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