研究課題/領域番号 |
09770728
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研究種目 |
奨励研究(A)
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配分区分 | 補助金 |
研究分野 |
精神神経科学
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研究機関 | 東北大学 |
研究代表者 |
刑部 和仁 東北大学, 医学部・附属病院, 助手 (60250776)
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研究期間 (年度) |
1997 – 1998
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研究課題ステータス |
完了 (1998年度)
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配分額 *注記 |
2,100千円 (直接経費: 2,100千円)
1998年度: 400千円 (直接経費: 400千円)
1997年度: 1,700千円 (直接経費: 1,700千円)
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キーワード | 精神分裂病 / 分裂病性認知障害 / Wisconsin Card Sorting Test / Wechsler Memory Scale revised / 脳機能 / 脳構造 / 症状評価 / BSABS / 神経心理学 |
研究概要 |
前年度までの研究成果により、分裂病50例、躁うつ病25例、神経症25例、健常対照群25例に対してBonn大学基底症状評価尺度(BSABS)と従来の操作的な精神症状評価尺度 Brief Psychiatric Rating Scale(BPRS)を用いて、大規模な臨床研究を行ったところ、精神分裂病(分裂病)に疾患特異的な症状は、「思考」「言語」「記憶」「注意」の認知に関わる4つの障害であることを報告した。脳構造の体積測定に関しては分裂病の一卵生双生児不一致例について調べ、分裂病においては左右前頭葉、右側頭葉の体積が減少していることについて報告した。こうした結果をふまえ、今年度は分裂病脳の機能について神経心理学的検討を行った。前頭葉機能についてはWisconsin Card Sorting Test(WCST)、側頭葉機能についてはWechsler Memory Scale revised(WMS-R)を用い、対照課題としてWAIS-Rを実施した。対象はinformed consentの得られた、10数例の男性分裂病患者であり、全例右手利きであった。その結果全般的にWCST、WMS-R、WAIS-Rの成績の間に有意な相関はみられず、特にWMS-Rのverbal memoryとWAIS-Rの言語性IQ(VIQ)との間には有意な相関がみられなかった。WMS-RのGeneral Memoryと有意な相関がみられたのはWAIS-Rにおける、言語性ではなく、動作性IQ(PIQ)であった。また、抗精神病薬、抗パ剤等の服薬量とWMS-Rの成績とは相関がみられなかった。 以上をまとめると、分裂病における「記憶」機能においては、通常の「言語」を介在しない、何らかの機構が関与している可能性が推測ざれた。また従来考えられていた投与薬物の記憶機能に与える影響は少ないことも判明した。分裂病脳の構造については、現在も集積されたデータを解析中であり、現在申請中の基盤研究(C)「分裂病性認知(思考、言詰、記憶、注意)障害と脳構造の総合的解析」(研究代表者:刑部和仁)において、継続して研究を行う予定である。
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