研究課題/領域番号 |
09770735
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研究種目 |
奨励研究(A)
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配分区分 | 補助金 |
研究分野 |
精神神経科学
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研究機関 | 福井医科大学 |
研究代表者 |
村田 哲人 福井医科大学, 医学部, 助手 (80200294)
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研究期間 (年度) |
1997 – 1998
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研究課題ステータス |
完了 (1998年度)
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配分額 *注記 |
2,200千円 (直接経費: 2,200千円)
1998年度: 800千円 (直接経費: 800千円)
1997年度: 1,400千円 (直接経費: 1,400千円)
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キーワード | 脳スライス / ポジトロン標識化合物 / ベンゾジアゼピン健忘 / トリアゾラム / ムスカリン性アセチルコリンレセプター / 神経伝達機能画像 |
研究概要 |
本研究は、ポジトロン標識化合物と生きた脳スライスを用いて、ムスカリン性アセチルコリンレセプター(mAChR)に対するベンゾジアゼピン(BZ)系薬剤を介したGABA系の抑制性調節が存在するかどうか、さらにBZ系薬剤健忘の作用機構を明らかにすることを目的とした。神経機能を維持している新鮮脳スライス標本(酸素ガスを供給した生理的溶液中)を、mAChRアンタゴニストである[^<11>C]N-methyl-4-piperidylbenzilate([^<11>C]NMPB)を用いて、インキュベーションした。スライス内の特異的結合をイメージングプレートによる2次元画像情報として描出して定量解析を行った。トリアゾラム単独では、[^<11>C]NMPB結合に変化はみられなかったが、GABAアゴニストのムシモールと併用した場合に、[^<11>C]NMPBの特異的結合を低下させた。スキャッチャード解析では、mAChRに対するこれらGABA系の抑制性調節が、最大結合量(Bmax)の変化ではなく、解離定数(Kd)の増加が示され、その機序としては、BZのアゴニストを介した内因性ACh遊離の増加によるmAChRの脱感作、異なるニューロトランスミッターのレセプター間でのシグナル伝達機構などが考えられた。また、BZ/GABAレセプター複合体を介する調節であることが、BZアンタゴニストRo15-1788でこれらの効果が打ち消されたことで裏づけられた。ラット脳のホモジネートでも同様の対照実験を行い、生きている脳スライスにおける[^<11>C]NMPBのmAChRに対する親和性は、ホモジネートに比べて20-50倍以上低く、Kd値の部位差も、生きている脳スライスに特有な所見であることが示された。同じBZ系薬剤のジアゼパムでも、程度は小さいが同様の結果が得られた。本法は、神経機能を維持している脳組織におけるレセプター・リガンド相互作用や他の生体活性物質による調節機構を、2次元画像情報として描出でき、神経伝達機能画像の新たな展開を拓くことが期待される。
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