研究課題/領域番号 |
09770738
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研究種目 |
奨励研究(A)
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配分区分 | 補助金 |
研究分野 |
精神神経科学
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研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
加藤 忠史 東京大学, 医学部・付属病院, 助手 (30214381)
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研究期間 (年度) |
1997 – 1998
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研究課題ステータス |
完了 (1998年度)
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配分額 *注記 |
2,200千円 (直接経費: 2,200千円)
1998年度: 1,000千円 (直接経費: 1,000千円)
1997年度: 1,200千円 (直接経費: 1,200千円)
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キーワード | 双極性障害 / 躁うつ病 / 磁気共鳴画像 / 磁気共鳴スペクトロスコピー / 脳画像 / intracellular pH / bipolar disorder / ^<31>P-Magnetic Resonace Spectroscopy / white matter hyperintensity / phosphodiester / magnetic resonance imaging |
研究概要 |
我々はこれまで、リチウム治療中で寛解期にある双極性障害患者40名の前頭葉において、リン磁気共鳴スペクトロスコピー(^<31>P-MRS)により細胞内pHが有意に低下していることを報告してきた。この所見が薬物の影響なのか、あるいは双極性障害の病態に関連しているのかは未だ不明である。最近、双極性障害では、MRI(磁気共鳴画像)により皮質下高信号領域が高頻度に見られることが報告され、多くの研究で一致した結果が得られている。本研究の目的は、1)無投薬の患者において、細胞内pHの低下が見られるかどうかを確認すること、2)細胞内pH低下と皮質下高信号の関連を調べること、である。まず7名の、寛解期にある無投薬の双極性障害患者について測定を行ったところ、リチウム治療中の患者と同様、細胞内pHの低下を認めたことから、pHの低下は双極性障害の病態生理に関連していると考えられた。一方、14名の患者で、^<31>P-MRSとMRIを測定した。MRIはFazekasの評価尺度を用いて定量的に評価した。その結果、皮質下高盾号領域を認める患者では、認めない患者に比して細胞内pHが有意に低かった。また、皮質下高信号を持つ患者では、リン酸ジエステル(PDE)が有意に高いという結果が得られた。これらの結果から、脳の細胞内pH低下はリチウムの影響ではなく、双極性障害の病態生理を反映しており、細胞内pH低下、PDEの上昇、皮質下高信号という3つの独立の所見は、互いに関連を持っていると考えられた。pH低下とPDEの上昇は正常者の皮質下高信号における所見とは異なっていること、^<31>P-MRSを測定した部位に含まれる高信号部位は実際はわずかであることから、双陽性障害患者では何らかの独特な脳エネルギー代謝異常が存在し、その結果皮質下高信号が生じていると推測される。
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