研究概要 |
まず,科学研究費補助金により,未整備であった研究室の整備,染色システムの構築に着手し,実験プロトコルを作成した。 この後,予備実験を開始。生後,第8週のウィスターラットの左貫通路に,深麻酔下にて双極電極を留置した。2週間の回復期間後,後発射閾値強度で刺激を連日行った。平成9年度は発作の発現,発展とは無関係に,術後1日,3日,1週,2週後に,深麻酔下において潅流固定を行い,クレシルバイオレット染色,及び免疫染色のスクリーニングとしてox-42染色を行い,ミクログリアの活性化を観察した。また,対照群として未刺激のラットも術後の同じ日数で染色をした。この結果,キンドリングラットにおいてはミクログリアの活性化はほとんど認められず,現段階では,カイニン酸投与時のような変化を認めていない。 平成10年度は,貫通路刺激群,カイニン酸投与群,対照群の3群をもうけ,それぞれの発作完成後の1日,3日,1週,2週,4週,8週,16週の変化を観察,比較してんかん発作の発現,発展におけるミクログリア活性化を観察した。貫通路刺激群,対象群ではミクログリアの有意な変化を認めえなかった。一方で,カイニン酸投与群では,1日後にはミクログリアの活性化を認め,1週後にはピークに達し,8週間は活性がおちなかった。16週目には静止型のミクログリアがほとんどであった。 ミクログリア活性化の意義は不明だが神経細胞死の程度に比例するとも考えられ,単に死亡細胞の残滓の処理にとどまらず,活性化自体が神経細胞死に関与している可能性も示唆された。
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