研究課題/領域番号 |
09770750
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研究種目 |
奨励研究(A)
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配分区分 | 補助金 |
研究分野 |
精神神経科学
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研究機関 | 札幌医科大学 |
研究代表者 |
続 佳代 札幌医科大学, 医学部, 助手 (60207420)
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研究期間 (年度) |
1997 – 1998
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研究課題ステータス |
完了 (1998年度)
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配分額 *注記 |
2,800千円 (直接経費: 2,800千円)
1998年度: 1,100千円 (直接経費: 1,100千円)
1997年度: 1,700千円 (直接経費: 1,700千円)
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キーワード | アルツハイマー病 / アミロイドβ蛋白 / トランスサイレチン / sequestrating蛋白 / sequestration機構 / immunoprecipitation / in vitro binding assay / 遠位尿細管 / 近位尿細管 |
研究概要 |
これまで、アミロイドβ蛋白(Aβ)に結合するsequestrating蛋白のAβ凝集、沈着過程における役割を解明するために、ヒト剖検腎を対象に免疫病理学的、および生化学的検討を加えてきた。ヒト腎臓においてトランスサイレチン(TTR)がsequestrating蛋白として、Aβの凝集、沈着を阻害している可能性を示唆する結果が得られた。本年度は各Aβ分子種とTTRの関係を明らかにするために生化学的検討を加え、以下の結果が得られた。 1) 免疫沈降:腎臓内でTTRとAβが結合して存在するかどうかを明らかにするために、免疫病理学的にAβ、TTRの存在が確認された凍結腎より遠心法にて粗抽出液を作成した。ヒト腎では分子量約15kDaのmonomerと分子量約35kDaのdimerのTTRが検出された。各抗体結合Sepharose 4Bにて免疫沈降を行うとBC42抗体で吸着・溶出された成分にはTTR-monomer、TTR-dimerのいずれもが検出されたが、BC40抗体ではいずれも微量しか免疫沈降されなかった。腎臓内のTTRにはAβ42が選択的に結合していることが明らかとなった。 2) in vitro binding assay:免疫沈降において見られた所見を確認するために、さらにin vitroにおける各Aβ分子種とTTRの結合について検討を加えた。AβとTTRの反応産物を電気泳動すると、Aβ、TTR-monomer、およびTTR-dimerが染色された。Aβ42とTTRを反応させたときには、TTRにAβ42が結合した反応産物が検出されたが、Aβ40とTTRを反応させたときには、この結合物は認められなかった。 3) in vitro overlay binding assay:膜上のAβ40、Aβ42にTTRを反応させると、TTRはAβ42に結合しやすかった。 以上の結果よりTTRはin vivo、in vitroにおいて、より不溶型Aβ42に選択的に結合し、Aβ42はsequestrationされている可能性が示唆された。現在、培養腎細胞のcell lysateを用いて、各Aβ分子種に結合している蛋白の同定を試みている。
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