研究課題/領域番号 |
09770769
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研究種目 |
奨励研究(A)
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配分区分 | 補助金 |
研究分野 |
精神神経科学
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研究機関 | 国立がんセンター |
研究代表者 |
明智 龍男 国立がんセンター, 研究所支所・精神腫瘍学研究部, 研究員 (80281682)
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研究期間 (年度) |
1998 – 1999
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研究課題ステータス |
完了 (1998年度)
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配分額 *注記 |
2,000千円 (直接経費: 2,000千円)
1998年度: 600千円 (直接経費: 600千円)
1997年度: 1,400千円 (直接経費: 1,400千円)
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キーワード | 難治がん / コーピング / 前向き / 悲観 / 精神的負担 / うつ病 |
研究概要 |
難治がん患者の有効なコーピングを明らかにする目的で、国立がんセンター東病院呼吸器科に新規入院した進行非小細胞肺がん患者を対象として、コーピングと感情状態の関連をprospectiveに検討した。 適格症例のうち129名から初回調査参加への同意が得られたが、告知後6ヶ月時点の追跡調査が施行できた症例は84名であった。84症例の背景(告知後の初回調査時)は、平均年齢61+9(SD)歳、男性69%、10年以上の教育経験を有するもの54%、雇用状況は退職者が30%と最も多く、91%が既婚・再婚者であった。医学的背景(告知後の初回調査時)は、腺がんが71%と最も多く、臨床病期はIV期が51%、performance Statusは1以上(何らかの身体的機能障害を有する)の患者が88%で、痛みを有する患者が54%、呼吸困難感を有する患者が52%であった。初回調査は告知後初期治療前に行われ、病名告知から初回調査までの平均期間は18+12(SD)日であった。病名告知から2ヶ月後追跡調査までの平均期間は71+15(SD)日、6ヶ月後追跡調査までの平均期間は177+16(SD)日であった。 初回調査時のコーピングと2ヶ月後追跡調査時の感情状態との関連を検討したところ、Fighting spirit(前向き)のみが抑うつおよび不安と有意な逆相関p<0.01)を示した一方で、抑うつ、不安と最も高い正相関を示したコーピングはHelplessness/Hopelessness(悲観)であった(p<0.05)。同様に、初回調査時のコーピングと6ヶ月後追跡調査時の感情状態との関連を検討しても同様の結果が得られた。また、初回調査時における年齢、教育経験、日常生活上の身体的機能の状態(Performance status)、疼痛の程度および呼吸困難感の程度を調整しても、これらの結果はほぼ同様であった。 本結果より、進行非小細胞肺がん患者においては、Fighting spiritが高く、Helplessness/Hopelessnessが低いコーピングが安定した感情状態と関連していることが示され、がん告知後のコーピングはその後の精神的苦痛の予測因子となりうることが示唆された。
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