研究課題/領域番号 |
09770771
|
研究種目 |
奨励研究(A)
|
配分区分 | 補助金 |
研究分野 |
精神神経科学
|
研究機関 | 国立精神・神経センター |
研究代表者 |
梶井 靖 国立精神・神経センター, 神経研究所・疾病研究第三部, 研究員 (40291942)
|
研究期間 (年度) |
1997 – 1998
|
研究課題ステータス |
完了 (1998年度)
|
配分額 *注記 |
2,000千円 (直接経費: 2,000千円)
1998年度: 500千円 (直接経費: 500千円)
1997年度: 1,500千円 (直接経費: 1,500千円)
|
キーワード | 覚醒剤 / メタンフェタミン / mRNA / 逆耐性現象 / アンチセンス法 / 大脳皮質 / 行動感作 / 生後発達 / 脳 / 遺伝子クローニング / 逆耐性 |
研究概要 |
メタンフェタミン(MAP)、コカイン等の中枢刺激薬による行動感作形成には新しい遺伝情報の発現が必要であり、また、ラットにおいては生後3週以降に認められるようになる現象である。mrtlは、この生後3週以降にneocortexにおける発現がMAP投与によって増強される新規遺伝子群の一つとして昨年度単離した。本年度はこのmrtlの発現誘導について詳細に解析すると共に、mrtl特異的アンチセンスオノゴヌクレオチドの行動感作形成への影響を検討した。 mrtlには少なくとも4つのスプライシングヴァリアントが存在し、C末端の構造が異なる2つのタンパク質、Mrtl a およひMrtl b をコードすると推定されたが、MAPに応答するのは主としてMrtl b をコードするヴァノアントB/Dであり、投与後1時間をピークとして一過性に発現増強が記められた。この誘導性ヴァリアントはMAP同様に行動感作を誘導するコカインにも有意に応答したが、行動感作を誘導しないD1受容体アンタゴニストであるSCH23390には応答をしなかった。一方、ヴァリアントA/Cは脳の各部位および他の一般臓器に定常的に広く発現することが示された。ラット脳で発現するMrtl蛋白質を検出するために、推定されるN末端領域の15アミノ酸残基(5-19)からなるペプチドをKLHに結合させて抗原とし、ウサギを免疫してポリクローナル抗体を得た。Western blotを解析した結果、cDNA配列から推定される分子量(61kDa)より7kDaほど大きい68kDaの単一バンドを検出した。mrtl翻訳開始点を含む配列に特異的なアンチセンスSオリゴヌクレオチドを脳室内に導入した結果、配列特異的に行動感作の形成が抑制された。以上のデータより、mrtlが行動感作形成に至る遺伝子発現カスケードに関与する可能性が示唆された。
|