研究概要 |
平滑筋細胞としてラット胸部大動脈由来のA7r5を用いた.A7r5においてはNorthern blottingによってPKC-α,からPにC-まで又Tδの役割を調べるためにPKC-δを過剰発現させることとした。A7r5にコントロールとしてSRDベクター単独またはPKC-δ遺伝子を組み入れたSRD-δをリン酸カルシウム法により遺伝子導入した。導入されたクローンの選択にはネオマイシン耐性遺伝子を利用しG418により行なった。PKC-δの発現の確認はWestern blottingにより確認し、コントロールのSRD単独を導入した細胞クローンより発現の多いクローンを選択し、PKC-δ遺伝子過剰発現平滑筋細胞株の確立した。PKC-アイソザイム遺伝子発現量はWestern blottingにより2.1-3.0倍及びNorthern blottingにより2.0-3.8倍増加していた。また[H^3]PDBu結合量による検討では1.4-1.8倍発現量は増加していた。PKC酵素活性は細胞膜分画及び細胞質分画をDE52イオン交換カラムにて分離後、Ca依存性(conventional PKC),非依存性(novel PKC)のPKCの酵素活性を行なった。conventional PKC活性は膜分画、細胞質分画ともに変化なっかったが、novel PKC活性は細胞質分画では変化なっかったが、膜分画においては22.5+/-2.22pmol/min/mg proteinに対し48.1+/-2.41pmol/min/mg proteinと2倍以上増加していることが確認できた。細胞倍加時間はA7r5およびEシリーズにおいては、37.2±0.8,36.3±4.8時間であったのに対しDシリーズでは65.0±8.4時間と著明に延長しており、DNA合成も有意に抑制されていた。
|