研究概要 |
我々は、巨核球造血を制御する遺伝子制御機構について検討を行った。 1) 正常巨核球造血を反映する分化のモデル系を作成した。これは当科で樹立した巨核芽球性白血病細胞株Meg-Jにトロンボポエチン(TPO),及びプロテインキナーゼインヒビターであるK252aを添加することにより、多倍体化、成熟をしめす系である。 2) この系を用いて、巨核球の成熟過程に関与する転写因子を検討した。 Meg-JにrhTPO及びK252aを添加後4時間培養し、その前後のRNAを抽出、RT-PCRにより、各種転写因子(GATA-1,GATA-2,TAL1,EVI-1,NF-E2)の発現を検討した。 検討した遺伝子の中で、NF-E2p45の発現の増強が認められた。GATA-1,2,TAL-1,EVI-1については、増減共に、変化は認められなかった。 さらにGel shift assayを行い、NF-E2 binding siteへの結合の増強を確認した。GATA binding siteへの結合は刺激前より認められ、刺激によるmobilityの変化は認められなかった。 NF-E2 p45の、巨核球の多倍体化、成熟過程への関与をさらに検討するために、15塩基のNF-E2p45のセンス、アンチセンスオリゴをそれぞれ作成し、Meg-JにrhTPO及びK252aを添加し、さらにオリゴを添加培養した。NF-E2 p45アンチセンスオリゴにより多倍体化が抑制されたが、NF-E2 p45センスオリゴでは多倍体化は抑制されなかった。 そのためNF-E2p45の、巨核球の多倍体化、成熟過程への関与が考えられた。
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