研究概要 |
1) 腹膜炎環境下における腹膜中皮細胞、線維芽細胞の相互作用の検討 ヒト好中球を分離し、lipopolysaccharideで刺激・培養。この培養上清を0,30%濃度となるようにF-12培地で調整し、ヒト腹膜中皮細胞(MC)、線維芽細胞(FB)に添加し6時間培養・刺激した。その後、刺激MCは無刺激FBと、刺激FBは無刺激MCとco-cultureし、培養18時間後に^3H-thymidine uptakeによるDNA合成能および培養上清中のinterleukin-6(IL-6)濃度をELISA法で測定した。さらに、刺激および無刺激FBと2x10^4/wellの濃度に播種した無刺激MCを20%FCS-F-12培地(増殖用培地)でco-cultureし培養1,3,5日目の細胞数を測定した。 無刺激co-culture群と比較して刺激MC,FBとのco-culture群において、MC,FBのDNA合成は有意に亢進し、かつ培養上清中のIL-6濃度も有意な上昇を認めた。また、刺激FBとのco-culture群は無刺激FB群と比較してMC細胞数の有意な増加を認めた。 2) 腹膜炎環境下における抗サイトカイン物質の腹膜中皮、線維芽細胞に及ぼす影響 1)の実験系の無刺激、刺激MCおよびFBに抗IL-1 receptor抗体を添加し同様の実験を施行した。実験1)で認められた刺激MC,FBにより亢進したDNA合成は、抗IL-1 receptor抗体の添加培養により有意に抑制された。また、刺激FBとのco-cultureで増加したMC細胞数も抗IL-1 receptor抗体の添加培養により明らかに減少した。
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